阪急新線の十三駅「地下ホーム」想定、2040年めどに整備 直上プロジェクトも展開



阪急電鉄は12月21日、JR大阪駅と新大阪駅を結ぶ同社の新線構想「なにわ筋連絡線・新大阪連絡線」について、十三駅のホームを地下に設ける考えを明らかにした。関連するプロジェクトも含め、2040年までの整備を視野に検討を進める。

十三駅の阪急神戸線ホーム。【撮影:草町義和】

12月21日に大阪市役所で開かれた、新大阪駅周辺地域まちづくり検討部会の第3回会合で阪急電鉄が新線の検討状況を明らかにした。それによると、なにわ筋線との相互直通を想定して軌間は狭軌で整備。基本的には地下ルートでの整備を想定する。

新線の十三駅は現在の十三駅構内の北側、神戸線と宝塚線のホーム・線路にはさまれたエリアを予定地とし、地下にホームを設けることを想定する。予定地の直上では、駅への直結を活かした「魅力ある広場的空間」「にぎわいや交流機能」「まちへの歩行者動線」を備えた施設を整備する「新駅直上プロジェクト」を展開。キーコンテンツとなる機能の導入を図り、十三駅エリアの目的地化をめざすという。

十三駅の新線ホームは駅北側の地下に設けることを想定。その直上に広場や交流機能などを設けた施設を整備する。【画像:阪急電鉄/大阪市】

新大阪駅はJR新大阪駅の西寄り、新幹線高架橋の北側に設けることを想定し、リニア中央新幹線と北陸新幹線の駅の位置に応じて確定させる考え。大阪駅は工事中のなにわ筋線との接続方法を検討中だ。なにわ筋連絡線・新大阪連絡線の事業手法や線形は引き続き検討中としている。

なにわ筋連絡線・新大阪連絡線は大阪~十三~新大阪の約4.6kmを結ぶ阪急電鉄の新線構想。大阪駅では関西空港アクセス特急「はるか」やおおさか東線の列車が乗り入れている地下ホーム(うめきたエリア)に接続し、新大阪駅で東海道・山陽新幹線や計画中のリニア中央新幹線・北陸新幹線などとの連絡を図る。建設費は2018年に示された試算で約1310億円。

現在、大阪(うめきた)~JR難波・南海新今宮を結ぶJR西日本・南海電鉄の新線「なにわ筋線」が2031年の開業を目指して工事中。なにわ筋線となにわ筋連絡線・新大阪連絡線の直通運転を実施した場合、関西空港~新大阪の直通輸送の強化に加え、十三駅での乗り換えで阪急沿線と関西空港・新大阪駅のアクセス強化が図られる。阪急電鉄は2022年に十三駅でカメラ撮影による流動調査を実施するなどして、新線の駅予定地の検討を進めていた。

なにわ筋線となにわ筋連絡線・新大阪連絡線の位置関係。【画像:阪急電鉄/大阪市】

大阪市と阪急電鉄はリニア中央新幹線・北陸新幹線の動向をにらみつつ、新大阪・十三・淡路の各駅エリアが2040年に「大阪の新たな広域拠点」として本格始動することを想定。阪急電鉄はこれに向けて、なにわ筋連絡線・新大阪連絡線や関連プロジェクトの整備を行う考えだ。

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