新大阪駅周辺どう開発?「まちづくり方針」策定、将来は11方面から鉄道乗り入れ



大阪府や大阪市などで構成される「新大阪駅周辺地域都市再生緊急整備地域検討協議会」は6月14日までに、「新大阪駅周辺地域都市再生緊急整備地域まちづくり方針2022」を策定した。リニア中央新幹線など複数の鉄道新線の乗り入れが構想されている新大阪駅とその周辺地域について、20~30年先を見据えたまちづくりの今後の方向性をまとめた。

構想や計画も含め多数の鉄道が乗り入れる新大阪駅のイメージ。【画像:国土地理院地図、撮影:草町義和、加工:鉄道プレスネット】

新大阪駅周辺地域は東西国土軸と南北大阪都市軸の交差ポイント。「方針」の全体構想では同地域を「スーパー・メガリージョンの西の拠点」「広域交通のハブ拠点」「世界につながる関西のゲートウェイ」と位置付け、新大阪・十三・淡路の3駅周辺のエリアで交流促進・交通結節・都市空間の機能向上を図るとした。

新大阪駅エリアはリーディング拠点とし、リニア中央新幹線など新幹線新駅関連プロジェクトと民間都市開発プロジェクトを組み合わせて都市機能の向上を目指す。新幹線新駅の位置は確定していないが「民間都市開発の機運の高まり」があるとし、これまでの検討内容を盛り込んだエリア計画を策定して新しいまちづくりを進める。

新幹線新駅関連プロジェクトはリニア中央新幹線・北陸新幹線の駅位置を踏まえ、「広域交通結節施設の機能向上」「駅とまちをつなぐ歩行者動線(歩きたくなるまちなか)」「大規模交流施設の立地」「新大阪連絡線新駅プロジェクト」について、関連プロジェクトの検討の具体化を進めるとした。

広域交通結節施設は「歩行者・自動車等交通・利用者サービスの空間をバランスよく設ける」とし、人の空間の拡充や高速バスの拠点化に向け多層化の検討を進める。歩行者動線は新大阪駅3階の南北通路から6方面への動線を確保。駅と交通結節施設、民間都市開発の低層部を一体的な空間として「にぎわいや潤いのある連続的な空間形成」を図るとした。

歩行者ネットワークの将来イメージ。【画像:新大阪駅周辺地域都市再生緊急整備地域検討協議会】
駅とまちが一体になった空間形成と周辺ゾーンの関係性のイメージ。【画像:新大阪駅周辺地域都市再生緊急整備地域検討協議会】

大規模交流施設は0.5~1ha以上の規模とし、広い圏域からの人の集積が可能な空間の確保などを図る。新大阪連絡線新駅プロジェクトは新大阪駅の北西部に新駅を設けるものとし、駅ビルの整備とあわせて一体的にエリアの価値を向上する機能の導入を図るものとした。

十三駅エリアは新大阪連絡線の駅位置の方向性を踏まえてエリア計画作成に向けた検討を進め、淡路駅エリアは阪急千里線・京都線の高架化などを踏まえてエリア計画作成に向けた検討を進めるとした。

新大阪駅は大阪北部のターミナルとして1964年に開業。現在は東海道・山陽新幹線と東海道本線(JR京都線)、おおさか東線、大阪メトロ御堂筋線が乗り入れている。東海道本線貨物支線(梅田貨物線)を経由して関西空港・和歌山方面を結ぶ特急「はるか」「くろしお」なども発着している。

将来的にはリニア中央新幹線(2037年全線開業予定)や北陸新幹線、新大阪連絡線も乗り入れる構想。梅田貨物線は移設・地下化工事が進められており、大阪駅北側に「うめきた(大阪)地下駅」が2023年春に開業する。

御堂筋線との相互直通運転を行っている北大阪急行線は2023年度の開業を目指して延伸工事中。うめきた地下駅とJR難波・南海新今宮駅を結び関西空港アクセスの改善を図る、なにわ筋線も2031年の開業を目指して工事中だ。新大阪連絡線は十三駅とうめきた地下駅を結ぶ、なにわ筋連絡線の構想との連携が考えられている。

これらの構想・計画が実現した場合、新大阪駅は鉄道だけでも11方面からの乗り入れが図られる。こうしたことから乗り換えルートの整備や周辺のまちづくりなどが課題になっていた。

新大阪駅周辺地域に乗り入れる鉄道構想のイメージ。【画像:新大阪駅周辺地域都市再生緊急整備地域検討協議会】

内閣府は2018年8月、新大阪駅周辺地域を都市再生緊急整備地域の候補地域として公表。これを受けて国土交通省や大阪府、大阪市、JR西日本、阪急電鉄、大阪メトロ、都市再生機構などで構成される検討協議会が2019年1月に発足し、このほどまちづくり方針を取りまとめた。

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