わたらせ渓谷鉄道「トロッコわっしー号」検査費用をネット募金で調達へ



わたらせ渓谷鉄道は9月7日から、同社のトロッコ列車「トロッコわっしー号」の車両検査費を調達するため、インターネット上での寄付の呼びかけ(クラウドファンディング)を行うことを決めた。

「トロッコわっしー号」で運用されているWKT-550形のWKT-551。【撮影:草町義和】

わたらせ渓谷鉄道は、渡良瀬川に沿って桐生~間藤間の44.1kmを結ぶ、わたらせ渓谷線(群馬県・栃木県)を運営。トロッコ風気動車WKT-550形1両(WKT-551)と通常タイプの気動車WKT-510形1両で編成されたトロッコ列車「トロッコわっしー号」を同線で運行している。

このうちトロッコ風気動車のWKT-551は来年2021年、法定検査のうち最も大がかりな全般検査が行われる予定。新型コロナウイルスの影響で利用者と収入が大幅に減少していることから、検査費用の一部をクラウドファンディングサービス「READYFOR」(レディーフォー)で調達することにした。

目標金額は300万円で、募集期間は今年2020年9月7日10時から10月30日23時まで。返礼としてオリジナルマスクや記念切符、車内広告1枠の利用権などの特典を用意している。

わたらせ渓谷鉄道の品川知一社長への取材によると、「トロッコわっしー号」は本年度2020年度に入ってから4月1~3日の計3日だけ運行したが、それ以降は新型コロナウイルスの影響で7月31日まで運休。4~7月の「トロッコわっしー号」の利用者数は前年同期が8221人だったのに対し、今年2020年は4月1~3日の約70人だった。わたらせ渓谷線全体の収入も大幅に落ち込んでおり、今年4~7月の収入は前年同期の25%という。

品川社長は「(「トロッコわっしー号」の収入は)古い鉄道をいつまでも安全に運行させるための費用、お年寄りや子供たちの生活交通をずっと守っていくための費用を生みだしています」とし、検査費用の寄付を呼びかけている。