東京地下鉄(東京メトロ)は3月1日、特殊なカメラと人工知能(AI)を用いた「列車混雑計測システム」を開発したと発表した。リアルタイムでの混雑情報の提供を目指す。
奥行きの深度情報を取得する機能を搭載したカメラ(デプスカメラ)をホームに設置し、駅を出発する列車内の混雑状況を撮影。撮影された映像から深度情報をテキストデータに変換してクラウドサーバーに送る。これを機械学習したAIに分析させることで、駅を発車してから十数秒で列車内の混雑状況を号車ごとに算出するという。
東京メトロは車両の重さや改札の利用者数から時間帯ごとの混雑状況を推計し、混雑情報を提供している。しかし、他社局の車両が乗り入れている路線では、車両の重さの情報の取得や、号車ごとにリアルタイムで混雑状況を提供することは難しい状況という。このため東京メトロはデプスカメラとAIを用いた計測システムを開発。昨年2020年9月以降、東西線の東陽町駅と丸ノ内線の新宿駅で実証実験を行ってきた。
東京メトロは計測システムの技術検証が完了したとして、今後複数の駅で計測システムを展開。2021年度を目途に時々刻々と変化する全線の列車混雑状況をリアルタイムに利用者に提供することを目指すとしている。