姫新線の沿線自治体「JR西日本の株主」に 路線の存続や利便性向上を訴える



岡山県の真庭市は2月14日、来年度2024年度当初予算案の概要を発表した。鉄道関係では、同市内を通る姫新線を運営するJR西日本の株式取得費用などを盛り込んだ。

姫新線の中国勝山駅。【画像:スナドリネコ/写真AC】

「JR利用促進事業」として1億1017万1000円を計上。中国勝山駅の開業記念式典やローカル線の利用促進イベントの開催に加え、1億円かけてJR西日本の株式を取得する。このほか、駅舎環境整備事業(6599万円)を計上。久世駅と月田駅、富原駅の駐輪場や美作落合駅の駐車場を整備する。

真庭市はJR西日本株式の取得について「資本参加による責任を持ち、地方鉄道を守る立場を明確にするため」「JR西日本に対して、ローカル線の存続及び利便性向上を訴えるため」としている。

姫新線は姫路~新見の158.1kmを結ぶローカル線。36駅のうち美作追分・美作落合・古見・久世・中国勝山・月田・富原の7駅が真庭市内にある。

姫新線の路線図。美作追分~富原の7駅が岡山県真庭市内にある。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】

兵庫県内で姫路都市圏の姫路~播磨新宮は新型車両の導入による高速化や増発などで利用者が増えており、コロナ禍が本格化する前の2019年度の輸送人員は2009年度の1.3倍ほどだった。一方、真庭市内の駅を含む播磨新宮~新見は利用者が少なく、近年の輸送密度は1000人を割り込んでいる状態。2019年度では津山~中国勝山が820人、中国勝山~新見は306人だった。

JR西日本は芸備線の備中神代~備後庄原68.5km(岡山県・広島県)について、改正地域交通法に基づく再構築協議会の設置を国土交通大臣に要請。今年2024年1月、国土交通省の中国運輸局が協議会の設置を決定し、鉄道の存廃も含めた芸備線の「あり方」が議論されることになった。

JR西日本は芸備線のほかにも、利用者が少なく赤字経営の路線について沿線自治体や地域住民と「あり方」を議論したい考え。これに対し、真庭市はJR西日本に資本参加することで、株主として姫新線の存続を訴えていく構えだ。

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