鉄道業界団体が新型コロナウイルス対策のガイドライン策定 指定席の販売にも配慮を



JR7社や日本民営鉄道協会などが参画している鉄道連絡会は5月14日、新型コロナウイルス感染症対策のガイドラインを策定した。感染拡大の要因とされる密閉・密集・密接(3密)の抑制に関する施策を中心にまとめている。

新幹線の普通車。【画像:たくあんとくもり/写真AC】

密閉対策としては、車両は空調装置の使用や窓を開けるなどの換気を励行し、駅構内でも天候や利用状況などに応じてドアや窓を開放することを求めている。密集対策は国土交通省と協力してテレワークや時差出勤を利用者に呼びかけ、各事業者は混雑状況の情報提供に努めることを求めた。

密接対策は多岐にわたっており、マスク着用を利用者に呼びかけるほか、切符売場などではアクリル板やビニールカーテンなどを設置。指定席の販売に際しては、複数の利用者が密接しないように係員が端末を操作し、乗客自身が端末を操作して指定席を購入する場合も座席位置についての配慮を呼びかける。

また、ガイドラインでは新幹線の駅や利用者が多い在来線の駅で、手洗いや手指消毒できるようにすることを求め、トイレについても利用頻度に応じた消毒や、ふたがあるトイレではふたを閉めてから汚物を流すよう表示することを求めている。

従業員に関する対策では、駅員や乗務員の始業前点呼時などで健康状態の確認を徹底。鉄道運行に直接関係しない従業員についてはテレワークや時差出勤の検討を行う。列車の運転本数については、ラッシュ時を中心に混雑を生じさせない程度に減便・運休を検討するものとした。

鉄軌道事業者は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて列車の減便を行っているが、これは感染防止のためというより、利用者が大幅に減少したことがおもな理由だ。政府は39県を緊急事態宣言の対象地域から除外することを決定。これに伴い公共交通機関の利用者が増えるとみられており、今後は減便以外の感染防止策が重要になったといえる。