東海道本線・御殿場線の沼津駅「高架化」7年延長、事業費は1000億超に



静岡県は公共事業への意見募集(パブリックコメント、7月13日~8月12日)にあわせ、沼津市内のJR線を高架化する連続立体交差事業(連立事業)の2022年度再評価調書を公表した。前年度2021年度の再評価より計画期間を7年延長。全体事業費は1000億円を超える。

線路を高架化した沼津駅付近の想像画。【画像:沼津市】

2021年度の再評価では全体事業費を787億円としていたが、今回の再評価では247億円増の1034億円に。計画期間は7年延長して2041年度までとした。静岡県によると、労務費や工事費が上昇したほか耐震基準の改定に対応する必要があり、事業費が膨張。施工計画の精査で工事期間も増加したという。

費用便益比(B/C)は2021年度の再評価で1.15だったのに対し、今回の再評価では1.1に下がった。社会的効果が整備費を上回るとされる「1」以上は維持しており、「事業を継続する」と判断された。

この連立事業はJR東海道本線・御殿場線の沼津駅付近を高架化し、13カ所の踏切を解消するもの。沼津駅に隣接するJR東海の車両基地やJR貨物の貨物駅は高架化の範囲外に移転する。

沼津駅付近の高架化区間(赤)。車両基地と貨物駅を高架化の範囲外に移転(青)する。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】
高架化した沼津駅とその周辺の想像画。【画像:沼津市】

貨物駅の移転工事は2021年2月に移転先の用地取得が完了。2021年度から新貨物ターミナルの詳細設計が始まり、今年2022年1月に造成工事が始まった。高架化区間では現在、用地取得や埋蔵文化財調査、調査設計などが進められている。

今回の再評価で示されたスケジュールによると、今後は2024年度まで用地補償と調査設計などを進めるとともに、2023年度から新貨物ターミナルの整備に着手。2024年度には新車両基地の整備も開始する。高架本体の整備は2026年度に着手する予定。

新貨物ターミナルは2027年度に整備を完了し、2030年度には新車両基地の整備も完了させる。線路の高架切替は2040年度の予定。2041年度には交差道路の供用を開始して事業を完了させる計画だ。

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