樽見鉄道「行き違い設備を撤去」利用者減少で減便ダイヤ改正



樽見鉄道(岐阜県)は2月6日、樽見線のダイヤ改正を4月8日に実施すると発表した。利用者の減少を受け運行本数を減らし、これにより不要となる行き違い設備などを撤去する。

樽見鉄道の列車。【画像:溝口駅長/写真AC】

区間別の運行本数は現在、大垣~本巣が上下各20本(土曜・休日は上下各21本)で、本巣~神海は下り14本・上り11本、神海~樽見は下り11本・上り12本になっている。改正後は本巣~神海で下りが3本減って11本に。上りは2本減って11本になる。神海~樽見も上りのみ1本減って11本になる。樽見鉄道は減便に際し、列車の間隔が空きすぎないよう可能な範囲で調整したとしている。

大垣~本巣の運行本数は変わらない。大垣駅では現在、6番線と7番線を使用しているが、改正後は6番線のみ使用する。

樽見鉄道は利用状況に見合った設備にするとし、秋ごろに工事を行う計画。線路を2線設けて上下の列車の行き違いができる神海駅と終点の樽見駅は、線路を1線撤去して「棒線化」するとともに信号設備も撤去する。4月のダイヤ改正は神海駅と樽見駅の棒線化に対応したダイヤになる。

神海駅は「棒線化」により列車が行き違いができなくなる。【画像:shonen_j/写真AC】

樽見線は大垣~樽見の34.5kmを結ぶ非電化単線の鉄道路線。1956年から1974年にかけ国鉄線として大垣~美濃神海(現在の神海)が開業した。引き続き美濃神海~樽見の工事が行われたが、1981年には国鉄の経営悪化を受けて廃止対象路線に指定。工事中の区間も含めて第三セクター化で鉄道を維持することになり、1984年に樽見鉄道が経営を引き継ぎ、1989年には神海~樽見が開業した。

輸送密度は国鉄時代の1977~1979年度で951人。樽見鉄道が経営を引き継いだ1984年度は753人だったが、国鉄時代より運行本数を増やすなどサービス向上を図ったこともあって利用者が増え、1996年度の輸送密度は1143人になった。しかしその後は少子高齢化などの影響で減少。コロナ禍が本格化する前の2019年度で598人になった。

経営を下支えしていたセメント輸送の貨物列車も2006年に廃止されており、厳しい経営が続いている。樽見鉄道によると、本巣~樽見は沿線人口の減少・少子化の進展に加え、沿線の温泉施設の休館もあって利用者が減少しているという。

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