甘木鉄道「さようなら」ヘッドマーク撮影会 もと国鉄ローカル線「三セク化成功例」



甘木線(福岡県)を運営する第三セクターの甘木鉄道は11月18日の12~13時、「さよなら国鉄甘木線ヘッドマーク撮影会」を甘木駅の車庫で開催する。参加費は無料。

「さようなら」ヘッドマークを取り付けて撮影できる甘木鉄道AR300形のAR305。【撮影:草町義和】

国鉄時代の最終日(1986年3月31日)に甘木線の列車に取り付けられたヘッドマークを、甘木鉄道AR300形気動車のAR305に取り付けて撮影できる。ヘッドマークは台形の大きなもので、列車が走る風景画を背景に「国鉄甘木線さようなら 九州総局 S61.3.31」の文字が記されている。

甘木線は鹿児島本線の基山駅で分岐し、甘木駅までの13.7kmを結ぶ路線。1939年、陸軍大刀洗飛行場への物資輸送などを目的に国鉄線として開業した。戦後は1984年までに貨物輸送が廃止。旅客輸送も1977~1979年度の輸送密度は653人と少なく、1980年公布の国鉄再建法に基づき廃止対象路線に指定された。

その後、第三セクター化で存続することが決まり、1986年4月1日に甘木鉄道が経営を引き継いだ。これを機に列車を増発。もともと福岡都市圏の路線だったこともあって利用者が大幅に増え、1990年代前半の輸送密度は2000人台で推移した。このため国鉄ローカル線の第三セクター化の成功例として取り上げられることも多い。1990年代後半以降は減少して1000人台で推移したが、2010年代には再び増加し、コロナ禍前の2019年度は2000人を超えた。

甘木鉄道のAR300形(AR301)。【撮影:草町義和】
近年は国鉄時代の車両に似たデザインの車両も運用されている。写真は国鉄キハ20系風のデザインが施されたAR303。【撮影:草町義和】

近年は国鉄時代の車両に似たデザインの車両が運用されており、撮影会で使われるAR305は国鉄急行型気動車のキハ58系風。ほかにもキハ20系のような国鉄一般型気動車風のデザインがAR303に施されている。

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