高速バス長野~松本線「運行終了」利用者減少に加え乗務員不足も JR篠ノ井線に並行



アルピコ交通は11月10日、高速バス長野~松本線の運行を終了すると発表した。運行開始から30年の歴史に幕を閉じる。

アルピコ交通の高速バス長野~松本線に並行するJR篠ノ井線の特急「しなの」。【撮影:鉄道プレスネット(AT)】

来年2024年3月29日限りで運行を終了する予定。回数券(4枚つづり乗車券・20枚つづり乗車券・デジタルチケット)は今年2023年3月31日限りで発売を終了する。定期券(高速バス長野~松本線 デジぱす定期券)の発売も2024年3月1日限りで終了する。

アルピコ交通によると、コロナ禍の影響で利用者が減少したことに加え「昨今の慢性的な乗務員不足」も相まって運行維持が困難と判断したという。

高速バス長野~松本線は長野自動車道が全通した1993年に運行開始。現在は平日のみ1日14往復(うち4往復は運休中)が設定されており、土曜・休日は全便運休している。長野駅~松本バスターミナルの場合、所要時間は1時間20~30分ほどで運賃は1600円。

並行するJR線(信越本線・篠ノ井線)の長野~松本の場合、所要時間は特急「しなの」が50分ほどで高速バスより短く、普通列車も1時間20分ほどで高速バスと同等だ。一方で運賃・料金(普通車自由席)は「しなの」が2370円で高速バスより高いが、普通列車は1170円で高速バスより安い。

長野・松本エリアの高速道路とJR線の位置。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】

高速バスは長野県庁を経由するなど長野駅や松本駅から離れた主要施設に直接行けるという利点はあるが、並行する鉄道に対し競争力が弱く利用者が少なかったことも廃止の要因になったとみられる。

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