JR西日本「バリアフリー料金」関西で導入 山陽新幹線にも導入、在来線はエリア拡大も



JRは8月19日、鉄道駅バリアフリー料金制度に基づくバリアフリー整備・徴収計画を国土交通省近畿運輸局に届け出た。関西エリアの一部路線でバリアフリー料金を加算し、ホームドアを含むバリアフリー設備の整備費に充てる。来年2023年4月1日から料金の徴収を開始する。

JR総持寺駅のホームドア。【撮影:草町義和】

バリアフリー料金は普通旅客運賃に対し10円を加算する。定期旅客運賃への加算額は通勤定期で1カ月300円、3カ月900円、6カ月1800円。通学定期は加算しない。バリアフリー設備整備対象エリアとバリアフリー料金収受エリアは関西の電車特定区間で、京都・長尾・奈良・和歌山・東羽衣・桜島・西明石の各駅で囲まれたエリア。ほかに山陽新幹線の新大阪~西明石も整備・収受の対象となる。

また、JR西日本は2025年春をめどに整備・収受エリアを拡大する方針。亀岡・野洲・城陽・松井山手・奈良・和歌山・関西空港・東羽衣・桜島・網干・新三田の各駅で囲まれたエリアでバリアフリー料金を収受し、山陽新幹線の料金収受区間も新大阪~姫路に拡大する。JR西日本によると、エリア拡大に際しては整備対象エリアの運賃体系の共通化が課題になるため、今後検討を進めるという。

バリアフリー料金の導入エリア。2段階でエリアを拡大する。【画像:JR西日本】

バリアフリー設備の総整備費は2023~2027年度の5年間で474億円。このうち323億円をバリアフリー料金の収入で賄う。JR西日本は本年度2022年度末までに整備対象エリアでホームドアを15駅42番線に整備する計画。今後は2027年度までにホームドアを25駅78番線に整備する。

また、ホームからの転落発生後に列車との接触を防止する検知システム「ホーム安全スクリーン」を84駅245番線に整備する。ほかにもエレベーターやエスカレーターの整備を実施。ホームと車両床面の段差・隙間の解消も大阪環状線を中心に実施する。これによりホームドアやホーム安全スクリーンの整備駅を利用する客の割合を2025年度に5割とし、2027年度には7割にすることを目指す。

今回の届出では計画期間を2027年度までとしているが、JR西日本は2028年度以降もバリアフリー料金制度を活用してバリアフリー設備の整備を進める考え。2032年度までにホーム安全スクリーンを整備対象エリアの全域に整備し、2033年度以降はホーム安全スクリーンを順次ホームドアに置き換えていく方針だ。

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