「豊予海峡ルート」「東九州新幹線」研究会を設置へ 大分県「より深く議論」



大分県は11月7日、「大分県広域交通ネットワーク研究会」を設置すると発表した。新しい長期総合計画の策定に向け、豊予海峡ルートや東九州新幹線、中九州横断道路など大分県内を通る広域交通ネットワークの構想について整備効果や課題などを研究する。

大分駅で発車を待つ日豊本線の特急「ソニック」。【画像:/写真AC】

大分大学経済学部の大井尚司教授や九州経済調査協会の岡野秀之常務理事など有識者9人が委員に就任。11月20日に大分市内のホテルで第1回会合を開く。来年2024年2月に報告を取りまとめる予定だ。

大分県の現在の長期総合計画は計画期間が2024年度まで。同県は今年2023年9月に県民会議を設置するなど、新しい長期総合計画の策定を進めている。大分県は広域交通ネットワークについて、新長期総合計画の策定に向け「より深く議論する必要がある」重要政策と位置付け、研究会の設置を決めた。

豊予海峡ルート(青点線)と東九州新幹線(従来ルート:赤点線、久大線ルート:紫点線)の位置。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】

豊予海峡ルートは四国の九州を隔てる豊予海峡に海底トンネルか橋梁を整備して四国と九州を鉄道や高速道路で結ぶ構想。大分市の2016~2021年度の調査によると、新幹線を複線で整備する場合の概算事業費はトンネル方式が9630億円、橋梁方式が1兆8070億円という。

東九州新幹線は1973年に福岡市~大分市付近~宮崎市付近~鹿児島市の基本計画が決定した新幹線。従来は北九州市付近で山陽新幹線から分岐して日豊本線に並行するルートが想定されていたが、大分県は九州新幹線から分岐して久大本線に並行して大分市に至るルートの検討も進めている。大分県によると、整備費用は従来ルートの場合で2兆6730億円と推計され、このうち大分県分は9000億円になるという。

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