黒部宇奈月キャニオンルート「13万円」2024年1月29日から旅行商品の販売開始



富山県の新しい山岳観光コース「黒部宇奈月キャニオンルート」の旅行商品が来年2024年1月29日から販売されることが決まった。旅行商品の金額は13万円程度を想定。富山県の新田八朗知事が今年2023年10月30日、定例記者会見で明らかにした。

「黒部宇奈月キャニオンルート」として一般開放・旅行商品化される黒部ルートのトロッコ(上部軌道)。【撮影:草町義和】

黒部宇奈月キャニオンルートは、黒部峡谷の宇奈月から黒部川第4発電所を経て黒部ダムに至るルート。このうち宇奈月~欅平は黒部峡谷鉄道が冬季を除き旅客列車を運行している。欅平~黒部ダムの通称「黒部ルート」は全線ほぼトンネル。専用鉄道のトロッコ列車やエレベーター、ケーブルカー(インクライン)、道路トンネルを走るバスで構成されている。

黒部ルートはダムや発電所を管理する関西電力の物資輸送ルートで現在は一般開放されていない。これまでは公募による見学会(年間約2000人)に参加しないと通れなかった。富山県は「秘境の地底に広がる巨大な電源施設群」を探訪する観光ルートとして関西電力に一般開放を要望し、2018年に一般開放・旅行商品化協定を締結。現在は2024年6月30日からのスタートに向け安全対策工事などの準備が進められている。

黒部ルートの大半はトンネル。【撮影:草町義和】

2024年度は6月30日~11月29日に実施。同年度の最大受入人数は専門ガイドや旅行会社の添乗員を含め8140人になる。基本コースは1泊2日の行程で宇奈月発と黒部ダム発を各2便設定。宇奈月発は第1便が宇奈月温泉の前泊、第2便は立山・室堂の後泊になる。黒部ダム発は第1便が大町温泉郷の前泊で、第2便は宇奈月温泉の後泊。富山県は各基本コースの詳細を旅行会社に提示し、基本コースを組み込んだツアー商品の造成を働きかけるとしている。

基本コースの想定販売金額は、宇奈月発の第2便で13万円程度。富山県によると、コースごとに行程や宿泊地が異なり金額が変わるほか、同じコースでも催行日やホテル1室あたりの利用人数により金額が変動するという。新田知事はほかの3便について「倍になったり半額になったりということはないと思う」と話し、おおむね13万円前後の価格設定になるとみられる。

新田知事は13万円という金額について「ホテルの宿泊費やトロッコ列車の運賃、コース全体に同行する専門ガイドの料金、工事用施設内を同行する安全添乗員の経費、食事などコース内のすべての費用が含まれている。適正に計算された価格であると理解している」と強調。また、地元の自治体や公共交通事業者などで構成される準備会議で「安売りはしないで中身を充実させることが大切」などといった意見も出たとし、「客にとって魅力的で満足度の高い商品となるよう準備を進める」と話した。

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