富山県は8月31日、黒部峡谷から上流の黒部ダムに至る物資輸送ルート「黒部ルート」について、来年2024年6月30日から「黒部宇奈月キャニオンルート」として一般開放・旅行商品化を開始すると発表した。1日に最大4便が設定される。
設定されるコースは次の通り。いずれも黒部宇奈月キャニオンルートを含む旅行商品を購入する必要がある。
●宇奈月発第1便
宇奈月温泉(前泊)→宇奈月駅→欅平→(キャニオンルート)→黒部ダム(解散、立山駅方面へ)
●宇奈月発第2便
宇奈月駅→欅平→(キャニオンルート)→黒部ダム→室堂泊(解散、立山駅方面へ)
●黒部ダム発第1便
大町温泉郷(前泊)→黒部ダム→(キャニオンルート)→欅平→宇奈月駅(解散)
●黒部ダム発第2便
立山駅→黒部ダム→(キャニオンルート)→欅平→宇奈月駅→宇奈月温泉泊(解散)
2024年度は6月30日に宇奈月発の第2便のみ実施。7月1日~10月31日は第2便を原則毎日(123日間)実施し、第1便は毎週水・木曜日を中心に34日間実施する。
定員は宇奈月発・黒部ダム発ともに第1便が各30人で、第2便は各20人。11月の催行日は調整中だ。11月を全日催行とした場合、2024年度の受入最大人数は専門ガイドや旅行会社の添乗員を含め8180人になる。
今後は今年2023年10~11月にインバウンドを対象としたモニターツアーを実施。旅行商品は11月に詳細を公表し、2024年1月下旬から販売する計画だ。
黒部ルートは黒部峡谷鉄道の終点・欅平駅から黒部川の峡谷地帯を南下し、黒部ダムに至る全長約18kmのルート。全線ほぼトンネルで、トロッコが走る下部軌道と上部軌道、貨物用ケーブルカーのインクライン、道路で構成される。
現在は関西電力が管理する業務用の物資輸送ルートで、一般の旅行者は通常通れない。公募による見学会(年間約2000人)に参加すれば通ることができる。
富山県は観光振興の一環として黒部宇奈月キャニオンルートの一般開放を関西電力に要望し、2018年に一般開放・旅行商品化協定を締結。関西電力が安全対策工事を実施し、工事完了後は公募方式の見学会を終了して旅行商品による一般開放へ移行することが決まった。年間の最大受入人数は現在の見学会の5倍となる1万人に拡大する。
《関連記事》
・黒部ルートの一般開放、新名称は「黒部宇奈月キャニオンルート」地名の順序を変更
・高山本線の活性化「新型車両」「バス連携」JR西日本や富山市など基本計画を策定