JR東海・JR西日本・JR九州の3社は10月17日、東海道・山陽・九州新幹線の「車内喫煙ルーム」を来年2024年春に廃止すると発表した。3社は「近年の健康増進志向の高まりや喫煙率の低下」を踏まえたとしている。新幹線の列車から喫煙できるスペースが完全に消滅する。
東海道新幹線では3・10・15号車に設けられている喫煙ルームが廃止に。山陽新幹線では16両編成の3・10・15号車と8両編成の3・7号車に設置されている喫煙ルームが廃止される。九州新幹線は8両編成のN700系電車に設けられている3・7号車の喫煙ルームが廃止される。
喫煙ルームは2024年春以降、非常用飲料水の搭載場所として活用する。JR東海は「万が一、駅以外の場所で長時間停車せざるを得ない状況になった場合等でも、より迅速にお客様にお配りできるようにすることで、災害等への対応力を強化します」としている。
このほか、JR西日本は山陽新幹線の新倉敷・新尾道・三原・東広島・新岩国・徳山・厚狭・新下関の各駅に設けている喫煙コーナーを2024年春に廃止する。
東北・上越・秋田・山形の各新幹線では2007年に喫煙車が廃止されており、喫煙ルームも設置されていない。2015年以降に開業した北海道・北陸・西九州の各新幹線は開業時から喫煙車や喫煙ルームを設けていない。
東海道・山陽新幹線は700系電車まで喫煙車を設定していたが、2007年以降に製造されたN700系以降の車両は全席禁煙として一部の車両に喫煙ルームを設置。2020年の700系の引退後も喫煙ルームは残されていた。
九州新幹線は2004年の部分開業時は全面的に禁煙だったが、2011年の全線開業とそれに伴う山陽新幹線との直通運転開始で、喫煙ルームがある車両が運用されるようになっていた。今回の喫煙ルームの廃止により、新幹線の列車内でタバコを吸える場所が完全になくなる。
新幹線を除く列車でも喫煙車や喫煙スペースは残り少なくなった。JR在来線では、寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」の個室寝台車の一部が喫煙車として設定されているほか、クルージングトレインの「TRAIN SUITE 四季島」(JR東日本)と「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」(JR西日本)に喫煙室が設けられている。私鉄では近鉄が2020年に特急列車を全席禁煙化したが、喫煙室は引き続き設置している。
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