小田急「白いロマンスカー」VSEが年内に完全引退へ まず9月に1編成



小田急電鉄は特急ロマンスカー50000形電車「VSE」が今年2023年内にすべて引退すると発表した。全20両(10両連接編成2本)のうち第50002編成が9月24日をもって引退。残る第50001編成も12月に引退する予定だ。同社は引退記念の「VSE」ツアーやイベントを企画している。

2023年内にすべて引退する「VSE」。【画像:ms06zaku/写真AC】

9月9日にオンラインイベント「VSE車両技術講座」を開催。現役の車両設計者が「VSE」の運転席や車内の特徴、連接台車など車両構造を詳しく解説し、参加者からの質問にも応える。9月10日からは全3回に渡り、車窓風景や走行音などを楽しめるツアーや、第50002編成単独の撮影会を実施する。

第50002編成の引退前日・引退日の9月23・24日は、「ありがとう50002編成~VSE2編成最後のランデブーミステリーツアー」と題したツアーを実施。第50001編成と第50002編成による「抜きつ抜かれつの走行や乗継ぎ」などを行い、車庫内で2本の編成を並べた撮影会も行う。

イベント・ツアーの情報や申込み方法など詳細は、特設ウェブサイト「ありがとうVSE!~Special Thanks & Forever~」や「小田急旅の予約サイト」「小田急子育て応援ナビ~FunFan おだきゅう~」で案内する。

定期運行が行われていたころの「VSE」。【撮影:草町義和】

「VSE」は2005年にデビューした特急ロマンスカー用の車両。1987年にデビューした10000形電車「Hi-SE」以来、18年ぶりに連接台車方式と運転台越しではない前面展望席を採用する一方、車体傾斜制御と操舵台車を採用して乗り心地の向上を図った。車体は白をベースにしたデザインが特徴的だ。

昨年2022年3月に定期運行を終了し、その後はイベント列車などで運用されていた。「VSE」が引退すると、連接台車方式の車両が小田急から消滅することになる。引退後の「VSE」について、小田急電鉄は海老名駅に隣接する博物館施設「ロマンスカーミュージアム」での展示に向けた検討を進めるとしている。

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