小田急ロマンスカー「SE」機械遺産に認定へ 初代新幹線「0系」にも影響



日本機械学会は7月28日、小田急電鉄の特急ロマンスカー3000形電車「SE」など4件を本年度2023年度の機械遺産に認定すると発表した。小田急電鉄はこれを記念し、「SE」を展示している博物館施設「ロマンスカーミュージアム」(神奈川県海老名市)でパネル展示や車内見学ツアーを実施する。

2023年度の機械遺産に認定される3000形「SE」。【画像:小田急電鉄】

認定は8月7日の予定。ロマンスカーミュージアムは同日から8月28日まで認定記念展示を行い、SE開発当時の設計資料や速度試験に関する資料などを公開する。認定証も受領以降に展示する予定だ。

8月14~17日は通常は一般開放していない運転室など「SE」車内をめぐるツアーを実施。学芸員による解説とともに見学や撮影をできるようにする。11時からと14時からの2回で各回30分程度。入館料を除き無料で事前申込も不要だが、参加できる人数は各回20人に限られる。

展示される資料のイメージ。【画像:小田急電鉄】
「SE」先頭車の運転台。【画像:小田急電鉄】

小田急電鉄の3000形は新宿~小田原の所要時間短縮を目的に、1957年から1959年にかけ32両が製造された特急ロマンスカー用の電車。「Super Express」「Super Electric car」を略した「SE」という車両愛称が付けられた。

車体は航空機の構造を応用したモノコック構造を採用して車体を軽量化。本格的な風洞実験を行って先頭部の形状を検討し、空気抵抗の少ない流線型を採用するなどして高速化を図った。ほかにもカルダン駆動や連接台車など、当時としては新しく珍しい技術を採用している。

高速鉄道の研究を進めていた国鉄の鉄道技術研究所(現在の鉄道総合技術研究所=鉄道総研)も開発に協力し、東海道本線で「SE」を使った高速試験を実施。当時の狭軌鉄道(軌間が1435mm以下の鉄道)では世界最高速度となる145km/hを達成し、のちに開業した東海道新幹線の初代営業車両となる0系電車の開発にも大きな影響を与えた。

ロマンスカーミュージアムで展示されている「SE」。【画像:小田急電鉄】

老朽化のため1992年に引退。現在は2021年4月に開館したロマンスカーミュージアムで3両が展示保存されている。

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