熊本市電の市民病院延伸「一部単線化」で事業費の削減目指す 全体の3割



熊本市はコロナ禍を受け中断していた熊本市電の延伸の議論を再開した。市は延伸区間の一部の区間を単線で整備し、事業費の削減を図ることを目指す。

熊本市電の健軍町停留場。【撮影:草町義和】

延伸区間は健軍町停留場から熊本市民病院まで約1.5km。健軍町停留場から熊本県道28号熊本高森線を東へ進み、東野1丁目交差点から秋津新町新外3丁目第1号線を北上。陸上自衛隊健軍駐屯地の南側にある熊本市民病院前が終点になる。

停留場は東野1丁目交差点の北側(電停1)、東町中学校付近(電停2)、熊本東警察署付近(電停3)、熊本市民病院(電停4)の4カ所に新設することが想定されている。

6月28日に開かれた市議会定例会の予算決算委員会で熊本市が示した一部単線案によると、県道28号の健軍町停留場から東野1丁目交差点まで約430mを単線で整備する。延伸ルート全体のうち3割ほどを単線化する。

熊本市電の延伸構想(赤)。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】
熊本市が示した一部単線案。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

この部分を複線で整備する場合は約430mの全域で新たな用地取得が必要だが、単線の場合は健軍町停留場と東野1丁目交差点付近の約60mのみ用地取得が必要になる。概算事業費は2020年度の試算で135億円だが、一部を単線化すると全線複線整備に比べ22億円ほど削減できるという。

熊本市は今後、基本設計の修正に取り組み、次期定例会で複線案と一部単線案の概算事業費・費用便益・スケジュールをそれぞれ提示する考えだ。

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