熊本市電の新型「3車体超低床電車」製造開始へ まず2編成、形式図など公表



熊本市電に導入される新型の「多両編成車両」の製造がまもなく始まる。現在運用されている9700形電車や0800形電車と同じ超低床電車だが1両多い3車体とし、定員を大幅に増やす。まず2編成が来年度2024年度に導入される見込みだ。

「多両編成車両」のイメージ。【画像:熊本市交通局】

熊本市交通局が公表した仕様書やイメージ、形式図によると、上熊本・田崎橋寄りから「A車」「C車」「B車」で構成される3両編成。車軸は合計6軸(1両2軸)で、A車の2軸とB車の先頭寄り1軸が動軸になる。パンタグラフはA車に搭載する。イメージではA車の記号番号らしき数字とアルファベットとして「2401A」が描かれており、車両の形式名は「2400形」が想定されているとみられる。

1編成の主要寸法は長さ21350mm×幅2380mm×高さ3850mm。9700形や0800形より3mほど長い。乗降口の高さは軌道面から330~360mm。ドアは1編成で片側3カ所とし、0800形より1カ所増える。座席は全席ロングシート。定員は112人(立席70人・座席42人)程度で、9700形(76人)の約1.47倍、0800形(82人)の約1.37倍だ。最大乗車人員は200%の224人程度。

「多両編成車両」の形式図。3車体の超低床電車になる。【画像:熊本市交通局】
熊本市電で現在運用されている超低床電車の9700形と0800形は2車体。写真は0800形。【撮影:草町義和】

モーターは三相誘導電動機(85kW)を3台搭載。制御装置はVVVFインバーター装置で、ブレーキ装置は回生・発電併用の電気指令式空気ブレーキ。最高速度は40km/hとし、性能上は最高70km/hまで対応する。

熊本市交通局は経営・サービス改善策の一環として、バリアフリーに対応した超低床で輸送力の高い多両編成車両の導入を計画。2024年度から2028年度にかけ10編成を導入する方針で、昨年度2022年度は車両の設計を行った。

今年2023年6月5日、この設計業務で制作された仕様書などに基づき2編成分の車体を製造する「超低床路面電車製造(車両用構体製作)」の一般競争入札を公告。入札日は7月18日で、履行期間は契約日から来年2024年2月29日までとしている。

熊本市は本年度2023年度の当初予算で「多両編成車両導入事業」として3億627万6000円を計上。車体製作のほか、多両編成車両の導入で必要になる車両工場の改修(塗装場の拡張など)や停留場の改修(ホームの延長工事など)も実施する。

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