京都嵐電「新型車両」導入、半円ドーム・回生ブレーキ採用 老朽車7両が引退へ



京福電鉄は5月30日、嵐山本線・北野線(嵐山線=嵐電、京都市)に新型車両「KYOTRAM(きょうとらむ)」を導入するとし、車両のデザインを発表した。2024年度から順次導入し、老朽化した車両を置き換える。

嵐電の新型車両「KYOTRAM」のイメージ。【画像:京福電鉄】

車体は「沿線の風景に溶け込むシンプルなデザイン」とし、嵐電のイメージカラーである京紫色をベースにデザイン。車体の両端は半円ドーム形状を採用することで「古くからの『路面電車』や『嵐電』の車両の特徴をオマージュ」したという。窓を大きく取って車内を明るくし、沿線の景色を楽しめるようにする。

「KYOTRAM」の先頭部と側面のイメージ。窓の大型化を図っている。【画像:京福電鉄】
半円ドーム形状を採用した国鉄キハ07形気動車。【撮影:草町義和】

運転保安度の向上やバリアフリー・多言語案内への対応を図るほか、空気清浄機の「ナノイーX」発生装置を搭載して車内環境を向上。VVVFインバーター制御と回生ブレーキを導入し、電力消費量は抵抗制御方式を採用している電車の約半分に抑える。

嵐電ではモボ2001形電車がVVVFインバーター制御装置を搭載し、2022年度に回生ブレーキを追加する改造を実施。2023年度に回生電力貯蔵装置を導入する。「KYOTRAM」は嵐電の電車としてはデビュー時から回生ブレーキを導入した初の車両になる。

愛称の「KYOTRAM」は「京都」のアルファベット表記(KYOTO)に、日本では「路面電車」と訳されることが多い英語の「tram(トラム)」を組み合わせた。京福電鉄は「京都を走る『人と地球にやさしい』トラムが、嵐電沿線の皆さまのくらしの風景を彩り、国内や世界中から『KYOTO』にお越しになる観光客の皆さまに安全・快適で心に残る旅を提供します」とアピールしている。

導入数は7両。まず2024年度に1両を導入し、2025年度から2028年度にかけ6両を導入する計画だ。

嵐電では現在、旅客電車27両と保線工事などに使う貨物電車1両の合計28両が使われている。京福電鉄は旅客電車27両のうち、導入から半世紀以上が過ぎているモボ101形電車6両とモボ301形電車1両の合計7両を引退させ、「KYOTRAM」に置き換える。

置き換えの対象となったモボ101形の106号。【撮影:草町義和】
モボ301形の301号も「KYOTRAM」導入で引退する。【撮影:草町義和】

京福電鉄は今年2023年4月に運賃の値上げを実施。1月に運賃改定を申請した際、老朽化した7両を「更新」すると発表していた。

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