フランスは5月23日、短時間で移動できる都市間での定期公共航空旅客輸送サービスを禁止する法令を施行した。航空から鉄道へのシフトを促し、二酸化炭素(CO2)の排出量削減を目指す。
運航禁止の対象となったのは、鉄道を使えば2時間半未満で移動できる短距離国内線の一部。直線距離が約400kmで代替となる高速鉄道(TGV)が存在するパリ(オルリー)~リヨンなどで航空便の運航が終了した。乗り継ぎ便など一部の路線は対象外。
2019年にマクロン大統領が創設した市民参加団体「気候市民会議」は、鉄道で4時間以内で移動できる都市間の航空利用の禁止を求めていた。しかしエールフランスなど航空会社が反対し、最終的に2時間半で決着した。
日本の場合、鉄道で2時間半未満で移動できる区間(最短時間ベース)は、東海道新幹線の東京~新大阪(2時間22分、515.4km)や山陽新幹線の新大阪~博多(2時間28分、553.7km)、東北新幹線の東京~盛岡(2時間10分、674.9km)など。仮にフランスと同様の政策が日本で実施された場合、新幹線が通っている約500~600kmの都市間を中心に国内航空便が廃止される可能性が高い。一方、東京~新大阪など鉄道の輸送量が逼迫(ひっぱく)している区間で同様の政策を実施するのは困難とみられる。
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