新京成電鉄「運賃値上げ」認可へ 運輸審議会が「適当」答申



国土交通大臣の運輸審議会は5月23日、新京成電鉄が申請していた旅客運賃の上限変更認可について、認可するのが適当と答申した。これを受けて国交相は近日中に認可するとみられる。新京成電鉄は認可された場合、10月に運賃を改定して値上げする考えだ。

新京成線の列車。【撮影:草町義和】

新京成電鉄は新京成線・京成津田沼~松戸(千葉県)26.5kmを運営する京成グループの準大手私鉄。申請によると、普通旅客運賃は各距離帯で20円値上げする。定期旅客運賃は1カ月・10~13kmの場合、通勤定期が950円値上げの8080円に。通学定期は410円値上げの4270円になる。運賃改定による増収率は合計12.4%を見込む。

運輸審議会の答申によると、新京成電鉄はコロナ禍の影響で2020年度の利用者数が前年度2019年に比べ約23%減少。利用者数が回復に転じた2021年度でも収支率が90.1%にとどまっている。一方で今後、老朽化した施設の更新やサービス向上などで多額の設備投資が必要な状況。経費削減だけでは各種施策の実施が難しいことから、新京成電鉄は2月に運賃改定を申請した。運輸審議会は新京成電鉄が提出した将来の需要推計は合理性があるなどとし、申請を認可することが適当であるとした。

鉄道事業の旅客運賃は国交相が上限額(上限運賃)を認可し、鉄道事業者は上限運賃の範囲内で実際に適用する運賃(実施運賃)を設定して国交省に届け出る。上限運賃と同額の実施運賃を設定するケースがほとんどだが、新京成電鉄は申請時に「認可後については今後の動力費や物価の動向、お客さま負担を考慮して別途実施運賃を設定する予定」と発表しており、上限運賃より安い実施運賃が設定される可能性もある。

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