新京成電鉄「値上げ」10月に実施へ 8800形の更新など進める



新京成電鉄は2月17日、新京成線・京成津田沼~松戸の旅客運賃上限変更認可を国土交通大臣に申請した。認可された場合、同社は10月に運賃を改定する予定。

新京成線の8800形。【撮影:草町義和】

普通旅客運賃の上限は各距離帯ごとに20円の値上げになる。初乗り(1~5km)は現行のICカード147円・切符150円がIC167円・切符170円に。23~27kmの区間では現行のIC262円・切符270円がIC282円・切符290円に値上げされる。

定期旅客運賃は平均割引率を通勤で現行の39.9%を38.8%に引き下げる。通学の割引率は据え置く。大人(通勤)・1カ月の場合、上限額は1~5kmで現行5560円が680円値上げの6240円に。23~27kmでは1110円値上げの1万650円になる。

新京成電鉄は上限額の範囲内で設定する実施運賃について、今後の動力費や物価の動向、客の負担を考慮して設定する予定とし、詳細は国交相の認可を受けた時点で改めて案内するとしている。

新京成電鉄によると、2020年度の輸送人員はコロナ禍の影響で前年度比23%減の約8000万人に。鉄道部門は2020年度で11億9000万円を営業損失を計上し、2021年度も営業損失が5億1000万円を計上している。これに加えて直近では動力費や物価の上昇があり、本年度2022年度も営業損失が見込まれる状況だ。

その一方、連続立体交差事業(線路の高架化)の完成による償却費の発生や、老朽化した車両や施設の更新時期を迎えていることから、多額の投資を実施する必要がある。このためで同社は現行の運賃水準を維持することは困難として運賃改定を申請したという。

連続立体交差事業で高架化された線路(初富~新鎌ケ谷)。【撮影:草町義和】

運賃改定による増収率は全体で12.4%。新京成電鉄は2022~2026年度に安全対策として約137億円を投資し、車両や施設の更新を推進する方針だ。とくに昭和末期~平成初期にかけて多編成を導入した8800形電車の老朽化が進行していることから、車両の更新を定期的・継続的に行っていくとしている。

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