メトロ半蔵門線~東急田園都市線の保安装置「無線式」で共通化 利用者にもメリット



東京メトロ・東急電鉄の2社は3月23日、相互直通運転を行っている東京メトロ半蔵門線~東急田園都市線の信号保安システムを同一の無線式列車制御システム(CBTC)に更新して共通化を図ると発表した。2社によると、相互直通運転を行っている路線で各線を運営している事業者が連携し、CBTCを同時期に導入するのは国内初という。

東京メトロ半蔵門線~東急田園都市線の直通運転で使われている東京メトロ18000系。【撮影:鉄道プレスネット】
東急2020系も半蔵門線~田園都市線の直通運転で使われている。【撮影:草町義和】

相互直通運転で使用する車両には通常、各線の信号保安システムに対応した車上装置を複数搭載する必要がある。2社などによると、保安システムの共通化により車上装置は一つ搭載するだけで済み、ライフサイクルコストの効率化や導入コストの低減に寄与する。また、相互直通運転を実施している2路線がともに共通化したCBTCを導入することで双方の路線で遅延回復効果が得られ運行の安定性が向上するなど、利用者にもメリットがあるという。

東京メトロ17000系の運転台。有楽町線・副都心線用の保安装置だけでなく直通先の東武線・西武線の保安装置も搭載している。【撮影:鉄道プレスネット】

CBTCは無線通信技術を使って列車の位置や速度を常に把握し、列車間の安全な距離を確保するシステム。東京メトロは2018年度に丸ノ内線で仮設設備でのCBTC試験運転を実施し、2022年度からは本設備での走行試験を開始した。2024年度に丸ノ内線にCBTCを導入し、2026年度には日比谷線にも導入する予定だ。東急電鉄も大井町線にCBTCを導入して踏切制御を高度化を図る計画で、稼働は2031年度の予定。

従来の保安システム(上:自動列車制御装置=ATC)と無線式(下:CBTC)の違い。【画像:東京メトロ・東急電鉄】
ATCのデメリットとCBTCのメリット。CBTCは遅延回復効果が高い。【画像:東京メトロ・東急電鉄】
東急大井町線ではCBTCの導入により高度な踏切制御を図る。【画像:東京メトロ・東急電鉄】

CBTCの導入は遅延回復効果が高く運行の安定性が向上するほか、従来の信号保安システムに比べ設備の省設備化が図られ、メンテナンス性の向上や環境負荷の低減にも効果がある。2社は「その他の相互直通運転路線においても信号保安システムの統一を目指すとともに、鉄道におけるさらなる安全性・安定性向上に向けて引き続き連携を図っていきます」としている。

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