札幌地下鉄東西線「手稲延伸」求める動き再び 市長「採算性取れない」



北海道科学大学は3月15日、手稲区の住民などで構成される「地下鉄東西線手稲区延伸期成会連合会」を設立すると発表した。3月24日に同大学の会議室で発足式が行われる。札幌市営地下鉄東西線の手稲区への延伸の実現を目指し、各自治体や団体などに働きかけを行う。

札幌市営地下鉄東西線の列車。【撮影:草町義和】

東西線は宮の沢~大通~新さっぽろの20.1kmを結ぶ地下鉄。宮の沢駅から手稲方面への延伸を求める声は古くからあり、1986年に地元住民で構成される期成会が設立されている。しかし地下鉄の利用者が減少していたこともあり、2001年の札幌市総合交通対策調査審議会の答申には手稲区への延伸は盛り込まれなかった。

2016年には手稲区内の公園を含む20カ所を候補地とした北海道日本ハムファイターズの新球場建設構想が浮上。これを受けて球場誘致とセットで東西線の手稲延伸を目指す動きもあったが、新球場は最終的に北広島市内に整備されることになり、立ち消えになった。

一方、豊平区にある北海道科学大学高校が今年2023年4月、北海道科学大学の手稲前田キャンパスに移転する予定。手稲方面への新たな通勤・通学需要が発生することが、今回の延伸期成会連合会の設立の背景にあるといえる。

札幌市営地下鉄東西線の手稲延伸構想(赤点線)。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

こうした動きに対し、札幌市の秋元克広市長は3月17日の定例記者会見で「札幌市内のバス路線の混みようや需要の状況からすると、地下鉄を延ばして採算性が取れるというところはない。現時点では建設を具体的に進めていく計画はない」としつつ、「今後も周辺の土地開発状況などを注視しながら検討していきたい」と話した。

札幌市営地下鉄をめぐっては、ほかにも東豊線の清田方面への延伸を求める動きなどがある。

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