札幌市営地下鉄東豊線「清田延伸」札幌ドーム周辺開発など踏まえ議論 市長が方針



札幌市の秋元克広市長は3月9日、札幌市営地下鉄東豊線の清田方面への延伸構想について、現状では難しいとの認識を示しつつ、周辺開発などによる影響も踏まえ議論していく考えを明らかにした。

札幌市の過去の調査で設定された延伸区間のルート・駅位置の想定(赤)。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

東豊線は札幌市東区の栄町駅と豊平区の福住駅を結ぶ地下鉄。福住駅から清田方面に延伸する構想が古くからある。札幌市が2011年度に公表した調査結果によると、延伸区間は4.2kmで4駅を新設。概算工事費は853億円で、1日の利用者数は2030年で4万3900人と試算されている。

国の地下高速鉄道整備事業費の補助を受ける場合、通常は30年以内の累積黒字化が条件になるが、札幌市は30年以内の黒字化は困難とし、延伸の事業化に慎重な方針を示していた。一方で国土交通省鉄道局の上原淳局長は2月、公共交通の場合は30年という期間にこだわらず柔軟に対処したいとの考えを国会答弁で示していた。

これを受けて秋元市長は3月9日の記者会見で「(累積黒字化の条件を)40年、50年と柔軟に対応したとき、黒字化ができるかどうか。現状では人口減少が推計され、清田方面も事業採算性が将来にわたって取れるかどうかが重要になる」とし、「現状の推計ではなかなか難しい」との認識を示した。

一方で「札幌ドーム周辺の土地利用なども議論しているが、そういったものがどう影響してくるのか、プラスに働くのかというようなことなどについても検証しながら、今後議論していきたい」と話し、周辺開発も踏まえて延伸の可否について議論や検証を進める方針を示した。

札幌ドームは東豊線の現在の終点、福住駅から約700m離れており、徒歩10分ほど。札幌市は2030年の冬季オリンピック・パラリンピックの招致を目指しており、招致が実現した場合は札幌ドームを開閉会式で使用することが考えられている。

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