叡山電鉄「値上げ」申請、4月から 京阪線との乗継割引も廃止



叡山電鉄(京都市)は2月10日、国土交通省の近畿運輸局長に旅客運賃上限変更認可を申請した。認可された場合、上限運賃と同額の実施運賃を設定し、4月1日に平均5.6%値上げする。

叡山電鉄の900系「きらら」。【撮影:草町義和】

普通旅客運賃は10~40円値上げする。各区の改定後の運賃額(値上げ幅)は1区:220円(10円)、2区:280円(10円)、3区:350円(10円)、4区:410円(30円)、5区:470円(40円)。

定期旅客運賃の平均割引率は通勤46.6%で0.2%の引き下げ。通学は65%で0.5%引き下げる。大人・1カ月の場合、通勤定期の上限は1kmで300円値上げの5750円。13kmでは740円値上げの1万4600円になる。

このほか、京阪電鉄と叡山電鉄のあいだで実施している乗継割引を廃止する予定。現在は京阪本線・祇󠄀園四条~神宮丸太町の各駅と叡山本線・元田中~修学院の各駅を出町柳経由で相互に乗り継ぐ場合、各線の所定普通運賃から10円(合計20円)を割り引いているが、4月1日に廃止する。

叡山電鉄によるとコロナ禍や2020年7月の豪雨による鞍馬線・市原~鞍馬の長期運休などで利用者が大幅に減少。2020年の年間輸送人員はピーク時(1996年度:801万4000人)の約4割減となる454万6000人まで落ち込んだ。

その一方、昨今激甚化している自然災害やエネルギー価格の高騰への対応、沿線の生産年齢人口の減少やテレワークの浸透による利用者の減少により、現行運賃のままでは今後の鉄道事業の運営は困難という。

同社は今後、レールや信号設備、変電所機器など老朽化した施設の更新を順次実施する方針。駅のバリアフリー化や自動券売機・自動改札機の更新なども進める。

製造から30年を超えた車両は順次改修して長寿命化を図るとともに、台車の更新やスタンションポール新設、車椅子・ベビーカースペースの設置、行先表示幕の多言語化などを実施。2023年年度に2両、2024・2025年度に各1両を改修する予定だ。

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