門司港→八代「夜行普通列車」再現ツアー 「SL人吉」用の50系客車で一夜を明かす



JR九州は2月25~26日、半世紀以上前まで門司港→都城で運行されていた夜行普通列車「1121列車」をイメージしたツアーを鹿児島本線の門司港→八代で実施する。ディーゼル機関車が牽引する「SL人吉」用の50系客車に乗って一夜を明かす。JR九州によると、「SL人吉」用の50系客車で夜行列車ツアーを行うのはこれが初めてという。

夜行列車「1121列車」をイメージしたツアーのチラシ。【画像:JR九州】

門司港駅を2月25日の23時30分頃に発車し、翌26日6時20分頃、八代駅に到着する。途中、鳥栖駅(1時29分頃着・2時10分頃発)と大牟田駅(2時48分頃着・4時20分頃発)、熊本駅(5時03分着・5時40分頃発)で長時間停車。停車駅ではホームでの列車の撮影などを楽しめる。

ツアー参加者には記念乗車証とオリジナルグッズをプレゼント。当日の運転士用時刻表レプリカや車掌用時刻表レプリカなどの販売も行う。

募集定員は92人。旅行代金は1シート(定員1~2人)の進行方向逆席が1万3000円、進行方向席が1万6000円。1ボックス(定員1~4人分)では3万1800人になる。1月26日の9時30分から予約サイト「STORES」で申込みを受け付ける。

1121列車は国鉄時代、門司港駅から鹿児島本線・肥薩線・吉都線を経由して都城駅まで運行されていた夜行運転の普通列車。客車の荷物車と座席車で構成され、一部の区間では蒸気機関車が牽引。寝台車は連結されていなかった。運行時刻(1968年10月)は門司港23時30分発→博多1時16分着・1時40分発→熊本4時05分着・4時16分発→八代5時19分着・5時34分発→吉松9時04分着・9時11分着→都城10時53分着の夜行運転。所要時間は11時間以上に及んだ。

1121列車(赤枠)が掲載された時刻表。1等車(現在のグリーン車に相当)や寝台車の連結を示す記号はなく、旅客車は2等の座席車(現在の普通車に相当)だけだったことが分かる。【引用:『国鉄監修 交通公社の時刻表』1968年10月号、日本交通公社】

かつては客車による夜行普通列車が全国各地で運行されていたが、寝台特急の増強などで減少。1121列車も1972年3月のダイヤ改正に伴い廃止された。今回の夜行列車ツアーでは1121列車の運行区間のうち肥薩線と吉都線は走らないが、肥薩線の八代~吉松が2020年7月の水害で運休中のため列車を走らせることができない。

《関連記事》
東京~大垣「ムーンライトながら」廃止 東海道本線の夜行普通列車、その歴史をたどる
肥薩線「球磨川第1橋梁」被災前より高く 復旧費は概算235億円「鉄道」前提に議論