【鉄道コネタ】いまも蒸気機関車が走れる鉄道路線(走れるとは言ってない)

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蒸気機関車が客車や貨車をけん引して走るSL列車は現在、世界的に見てもほとんど運転されていない。産業文化の動態保存のため、あるいは観光客誘致のために運転されているケースばかりで、運転されている路線も限られている。

名古屋の北部を横断する高架鉄道の城北線。鉄道法規上はSL列車を走らせることができる。【撮影:草町義和】

ただ法規上、蒸気機関車を運転できる路線は多い。国土交通省鉄道局監修『鉄道要覧』(電気車研究会)の2019年度版によると、使用できる動力に蒸気が含まれている路線、つまり蒸気機関車を運転できることになっている鉄道事業者と路線は次の通りだ(2019年7月末時点、第三種鉄道事業を除く)。

●JR北海道
北海道新幹線と海峡線を除く全線

●JR東日本
東北新幹線・上越新幹線・北陸新幹線・赤羽線・鶴見線・上越線(ガーラ湯沢支線)・仙石線・田沢湖線・成田線(成田空港支線)を除く全線

●JR東海
東海道新幹線・身延線・名松線・参宮線を除く全線

●JR西日本
北陸新幹線・山陽新幹線・大阪環状線・桜島線・越美北線・博多南線・関西空港線を除く全線

●JR四国
内子線・高徳線・鳴門線・牟岐線を除く全線

●JR九州
九州新幹線を除く全線

●えちごトキめき鉄道
妙高はねうまラインと日本海ひすいライン

●しなの鉄道
北しなの線

●あいの風とやま鉄道
あいの風とやま鉄道線

●IRいしかわ鉄道
IRいしかわ鉄道線

●真岡鐵道
真岡線

●秩父鉄道
秩父本線

●東武鉄道
鬼怒川線(下今市~鬼怒川温泉)

●西武鉄道
西武秩父線(西武秩父駅構内)

●大井川鐵道
大井川本線

●東海交通事業
城北線

実際にSL列車が運転されている路線はもちろんのこと、東海交通事業の城北線(愛知県)のように、開業以来一度もSL列車が運転されたことがない路線もある。特にJR線で動力に蒸気を含めている路線が多い。JR九州に至っては、新幹線を除くすべての在来線でSL列車を運転できることになっている。

JRの場合、国鉄時代は蒸気機関車を走らせることが可能な路線ばかりだったし、分割民営化時にとりあえず国鉄時代の動力計画をそのまま採用する形で、事業基本計画の認可を受けたのだろうか。2019年度版の『鉄道要覧』を見たとき、最初はそう思った。

しかし、運輸省地域交通局監修『民鉄要覧』(電気車研究会、現在の『鉄道要覧』)の1988年度版を確認したところ、分割民営化から1年以上が過ぎた1988年7月1日の時点で動力に蒸気を含めているJR線は、JR北海道の路線(歌志内線・深名線・池北線・天北線・名寄本線・標津線・海峡線を除く全線)だけだった。

となると、分割民営化時点では各線の動力に蒸気が設定されておらず、SL列車の運転構想が浮上するたびに事業基本計画を変更して、蒸気動力を使える路線を追加していったのだろうか。

実際、JR北海道の場合は国鉄末期にC62形蒸気機関車の動態復元構想が浮上し、1988年4月から函館本線で運転を開始している。将来的にはほかの路線でも蒸気機関車を運転することを想定し、函館本線以外の路線にも動力に蒸気を加える法手続を行ったのだろう。

ただJR西日本の山口線など、季節限定ながら古くからSL列車が恒常的に運転されている路線でも、1988年7月1日時点では動力に蒸気が含まれていないのがひっかかる。たとえばSL列車を運転するたび、蒸気動力の使用期間を限定した手続きを繰り返していたのだろうか(期間限定の手続きだと『鉄道要覧』に記載されないことがままある)。

この手続きの繰り返しがいつしか煩雑になり、とりあえずSL列車を運転できそうな路線を片っ端からリストアップし、期間限定ではない動力追加の手続きを行ったのかもしれない。

いずれにせよ、計画上の動力に蒸気があるからといって、ただちにSL列車を運転できるわけではない。まず蒸気機関車を調達しなければならないし、石炭や水を補給するための施設の整備も必要。蒸気機関車の運転免許を持つ運転士も育成もしくは雇用しなければならない。

とはいえ、形式的にでも蒸気機関車を運転できることになっている以上、鉄道マニアとしては、ちょっと夢が膨らむ。

JR東日本の磐越西線を走るSL列車「SLばんえつ物語」。【撮影:草町義和】
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