南海電鉄「新しい観光列車」2025年度にも導入へ 背景に高野線「天空」老朽化



南海電鉄が2025年度をめどに新しい観光列車の導入を検討していることが分かった。同社が9月30日に公表した株主・投資家向け情報『南海グループ統合報告書2022』で明らかにした。

南海高野線の観光列車「天空」(左)。【画像:なりきんや/写真AC】

報告書は2021年度の実績として、加太線(加太さかな線)の観光列車「めでたいでんしゃ」の4編成目「かしら」の運行が始まったことをアピール。その一方、高野線の観光列車「天空」は老朽化が進んでいるとした。

そのうえで「これまでの経験を踏まえて新たな魅力を追加することで、より『乗ってみたい』と思っていただけるような観光列車の導入を検討しています。現在、2025年度の導入を目標として、運転区間やサービス内容について検討を進めています」としている。

「天空」は2009年から高野線の橋本~極楽橋で運行されている観光列車。「天空」向けに通勤電車を改造した車両を使用しており、車内を観光列車向けに改装したほか既設のドアに柵を設置して開放型の展望デッキとしたのが特徴だ。

「天空」向け改造車は高野線の山岳区間に対応した車両「ズームカー」のうち22000系の2次車として1970年に製造された2両(22013+22014)。1994年に側構体の新製取替など大規模な更新修理が行われており、これに伴い形式が2200系、車両番号が2203+2253に変更された。2009年の「天空」運転開始に際して再改造され、車両番号も2208+2258に再変更。新造から50年以上が過ぎ、再改造からも13年が過ぎている。

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