大井川鉄道(静岡県)は9月20日、兵庫県内で静態保存されていた蒸気機関車「C56形135号機」の動態化に向けクラウドファンディング(CF)を始めた。同社が静態保存されていた蒸気機関車を動態化するのは2001年に搬入されたC11形190号機以来、約20年ぶり。
ボイラーメーカーの東海汽缶が現在、静岡県島田市内に新工場を建設中。この工場は全国の蒸気機関車の修繕・復元の拠点になるといい、C56 135のボイラーもここで大規模な修繕を行って動態化を図る。修繕期間は2023年1月から大井川鉄道が創立100周年を迎える2025年の12月までとし、修繕費は概算で3億円。
このうち1億円を目標金額としてCFサイト「READYFOR」で募集している。リターン(返礼品)は記念グッズのプレゼントや駅長・従業員体験など。復活記念列車に装着するヘッドマークやナンバープレートなどもプレゼントするという。
2022年9月24日0時50分時点の支援総額は1152万6000円。募集方式は「All-in方式」のため、大井川鉄道は目標金額に到達しなかった場合でも自己資金で補充するなどして動態化に向けた修繕を実行するとしている。
C56 135は1938年製。九州や山陰などで運用されて1974年に廃車され、翌1975年から兵庫県滝野町(現在の加東市)で静態保存された。しかし2021年、車両の荒廃が進んだことから解体案が浮上した。こうしたなか大井川鉄道が譲渡の申し入れを行い、2022年2月に大井川鉄道の車両基地に搬入。同社の創立100周年プロジェクトの一環として動態化を目指すことになった。
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