障害者割引「Suica」「PASMO」発行 「障」「介」マーク付き、手帳提示は不要



関東ICカード相互利用協議会は9月14日、障害者割引が適用される交通系ICカードの概要を発表した。来年2023年3月中のサービス開始を予定。障害者が公共交通を利用する際の負担の軽減を目指す。

介護者が車椅子を押して電車に乗車。【撮影:草町義和】

障害者割引を適用するICカードとして障害者本人用と介護者用の「Suica」「PASMO」を発行。障害者本人とその介護者が同時・同一行程で自動改札機かバス運賃機を利用すると、割引運賃で自動的に清算される。本人用・介護者用を別々、または単独で利用することはできない。

これにより駅の改札窓口などで障害者手帳などを提示する手間が省ける。ただし協議会はICカードで鉄道やバスを利用する場合も障害者手帳などを携行するよう求めている。

利用できるのはJR東日本「Suica」の首都圏・新潟・仙台の各エリアと関東の鉄道・バス「PASMO」のエリア。来年2023年春以降に「Suica」サービスが始まる青森・盛岡・秋田の各エリアでも利用できる。

障害者用・介護者用のICカードは第1種身体障害者・第1種知的障害者とその介護者(任意の一人)を対象に発行。第2種身体障害者と第2種知的障害者は対象外で、今回は大人用のみの発行となる。協議会が発表したICカードのデザインによると、カード面に「障」「介」のマークが付けられる。

障害者本人用・介護者用の「Suica」「PASMO」のカード面。【画像:関東ICカード相互利用協議会】

障害者用ICカードは定期券として利用することも可能。障害者本人がすでに所持している「My Suica」や記名「PASMO」を障害者用ICカードに変更することもできる。「モバイルSuica」「モバイルPASMO」や「Apple Pay」の「Suica」「PASMO」を障害者用ICカードとして使うことはできない。

ICカードの購入時には障害者手帳などを発売窓口で提示する必要がある。本人用と介護者用を同時に購入する必要があるほか、障害者一人に対して「Suica」か「PASMO」のいずれか1組限りになり、複数持つことはできない。

関西の鉄道・バス事業者が加盟する「スルッとKANSAI協議会」は磁気カード時代の1996年、障害者割引に対応したカードを導入。2017年にはICカードに切り替えた。札幌や名古屋など各地の地下鉄や私鉄でも障害者割引に対応したカードが導入されている。

一方、関東では相互直通運転の増加などで関係する事業者の調整が複雑化。システムの大規模な改修が必要などの課題もあり、これまで具体化に向けた動きが鈍かった。関東ICカード相互利用協議会は昨年2021年6月、障害者割引を適用するICカードを2022年度後半に導入する方針を発表していた。

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