日田彦山線のBRT化、福岡県がバス専用道の拡大を要望 JR九州「最大限尊重して検討」



福岡県の小川洋知事は6月2日、運休中の日田彦山線・添田(福岡県添田町)~夜明(大分県日田市)間の代替交通として浮上しているバス高速輸送システム(BRT)について、バス専用道の整備区間をJR九州の案より長い福岡県の案で整備するようJR九州に要望した。

単線のトンネルや線路をバス専用道化した気仙沼線BRT。日田彦山線のBRT化もこれと同様の形態になる。【撮影:草町義和】

JR九州の案では、釈迦ヶ岳トンネルを含む彦山(添田町)~筑前岩屋(福岡県東峰村)間をバス専用道として整備し、前後の区間は一般道を走る。これに対して福岡県議会は3月、JR九州案より専用道を長くした4案を提示。小川知事と福岡県議会の栗原渉議長は6月2日にJR九州本社を訪ね、バス専用道の整備区間を彦山~筑前岩屋~宝珠山(東峰村)間に拡大するよう要望した。

JR九州は福岡県の要望について「我々が提案した彦山~筑前岩屋間を専用道とする案は、地域の交通体系にとって利便性が高く持続可能なものとして考えたもの」としつつ、「本日提案のあった宝珠山駅までの延伸案について最大限尊重しながら検討を進めたい」とコメントした。

日田彦山線・添田~夜明間は2017年の九州北部豪雨で、線路への土砂流入や路盤の崩壊など甚大な被害が発生し、現在も運休中。もともと利用者が少ないこともあり、JR九州は鉄道を廃止してBRTに転換することを提案していた。

今年2020年5月26日には、沿線の自治体で最後まで鉄道の廃止に反対していた東峰村の澁谷博昭村長が、鉄道復旧の断念とBRT案の受け入れを表明。現在の焦点はBRTの整備方法に移っている。

日田彦山線の運休区間(赤)。JR九州案では彦山~筑前岩屋間をバス専用道化するが、福岡県は彦山~宝珠山間の専用道化を求めている。【作成:鉄道プレスネット編集部/国土地理院の地図を加工】