国鉄色キハ40「道外禁止」「さようならSL」ツアー 往年の長距離普通列車をイメージ



JR函館本線・室蘭本線の旭川~室蘭で9月24日、国鉄色の気動車キハ40形2両編成によるツアー列車が運行される。日本旅行大阪法人営業統括部による企画で、室蘭本線の開業130周年を記念するもの。

旭川→室蘭の「急行・道外禁止号」の想像画。【画像:日本旅行】

往路の旭川→室蘭は「急行・道外禁止号」として運行される。時刻は旭川8時06分→岩見沢9時45分→室蘭13時00分。途中、追分駅で39分停車するとともに特製弁当「道外禁止弁当」が配られる。苫小牧駅でも8分停車する。車内では夕張石炭博物館の館長が室蘭本線を走っていた石炭列車の歴史を語る。

列車名の「道外禁止」は、かつて北海道の貨物列車で使われていた貨車の車体表記にちなんだもの。道内で使われていた貨車のなかには鉄道車両用のフェリーの甲板に固定して搭載するのが難しい構造のものがあり、青函連絡船に搭載して道外の路線に乗り入れるのを禁じる「道外禁止」の言葉を表記していた。

復路の「さようならSL号」は室蘭16時07分→岩見沢20時20分→旭川22時02分。20分停車の苫小牧駅で特製弁当「やきとり弁当」が配られるほか、追分駅では50分停車して駅前を散策する。岩見沢→旭川はノンストップで走る。

列車名は1975年12月14日、室蘭本線・室蘭→岩見沢で運行された国鉄最後のSL定期旅客列車(列車番号は第225列車)にちなんでいる。第225列車を牽引したのは鉄道博物館(さいたま市)で現在保存されているC57形135号機。「さようならSL」と描かれたヘッドマークを取り付けて走った。今回運転される「さようならSL号」では第225列車を撮影した上田哲郎さんが車内で「SLブーム」時代の様子を語る。

室蘭→旭川の「さようならSL号」の想像画。【画像:日本旅行】

走行距離は片道237km、往復474kmで、所要時間は片道5~6時間に及ぶ。日本旅行は「滝川から釧路まで308.4kmを8時間かけて運行していた長距離普通列車『2427D』を彷彿とさせる」ものとしている。

旅行代金は「道外禁止」「さようならSL」の往復コースで一人あたり2万2800円から。片道コースは一人あたり1万3800円になる。「フォトブック」(往路:炭鉄港、復路:室蘭本線SL)」や硬券乗車証明書が付くほか、室蘭本線沿線の銘菓や行先板、愛称板などの限定販売も行われる。申込みは日本旅行大阪法人営業統括部の鉄道・バス企画デスク専用のツアー予約サイトで受け付けている。

室蘭本線は現在、長万部~東室蘭~苫小牧~岩見沢の211.0kmと東室蘭~室蘭の7.0kmで構成されるJR北海道の鉄道路線。このうち室蘭~岩見沢はいまから130年前の1892年8月1日に開業し、沿線の炭鉱から太平洋岸の港湾まで石炭を運ぶ貨物列車が運転されていた。

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