東武鉄道は4月20日、大師線(東京都足立区)で「添乗員付き自動運転」の実施に向けた検証を行うと発表した。列車に運転士は乗らず、避難誘導などを行う添乗員のみ乗務して自動運転を行う。
東武鉄道は2023年度以降、大師線で夜間の試運転を中心に検証運転を実施。この結果を踏まえて将来の添乗員付き自動運転の実施を目指す。
同社は「少子高齢化、沿線人口及び労働人口の減少が進む中で、安全かつ利便性の高い輸送サービスを維持継続するためには、より一層の業務の自動化や機械化の推進を図っていく必要がある」としており、将来の運転士不足を見据えた自動運転の実現を目指す。
東武大師線は、伊勢崎線(東武スカイツイーライン)の西新井駅から分岐して大師前駅に至る1.0kmの短距離路線。途中に駅はなく、線路も1991年までに高架化されて踏切が解消されており、自動運転を行いやすい環境が整っている。
国際電気標準会議(IEC)が定めた規格によると、鉄道の自動運転は、運転士がボタン操作して自動運転する方式(GoA2)と、避難誘導などを行う添乗員のみ乗務して自動運転を行う方式(GoA3)、運転士・添乗員が乗務せず自動運転を行う方式(GoA4)がある。
東武鉄道が検証する自動運転はGoA3に相当。東京ディズニーリゾートを周回するモノレール(ディズニーリゾートライン)がGoA3相当の自動運転を行っている。このほかIECの規格にはないが、緊急停止操作を行う添乗員が列車の先頭部に乗って自動運転を行う方式(GoA2.5)もあり、JR九州がGoA2.5の実証実験を香椎線(福岡県)で行った。