鉄道の混雑率「2年連続」150%以下を達成 ワースト30位の顔ぶれは



国土交通省は7月22日、2021年度の都市鉄道の混雑率調査結果を公表した。東京・名古屋・大阪の三大都市圏の主要路線(計59区間)は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で大幅に低下した前年度2020年度よりわずかに上昇。地方路線が引き続き上位に食い込んだ。

全国ワースト2位に食い込んだ西鉄貝塚線。【撮影:草町義和】

東京圏の平均混雑率は108%で2020年度に比べ1%の上昇。コロナ禍前の2019年度との比較では55%低下した。大阪圏も2020年度から1%上昇、2019年度から22%低下の104%に。名古屋圏は2020年度から6%上昇、2019年度から22%低下の110%となった。

国土交通大臣の交通政策審議会は2016年に答申した『東京圏における今後の都市鉄道のあり方について』(交政審198号答申)で、東京圏の主要31区間の平均混雑率を150%に抑えるとしていた。結果的に2年連続で政策目標の150%を達成したことになる。

調査対象となった全国236区間のうちワースト30位の混雑率は次の通り。

順位|事業者|路線|区間|混雑率(%)
1|都営交通|日暮里・舎人ライナー|赤土小学校前→西日暮里|144
2|西鉄|貝塚線|名島→貝塚|140
3|JR東日本|武蔵野線|東浦和→南浦和|137
4|JR東日本|埼京線|板橋→池袋|132
4|JR西日本|可部線|可部→広島|132
6|都営地下鉄|三田線|西巣鴨→巣鴨|131
7|JR東日本|信越線|新津→新潟|130
8|東京メトロ|東西線|木場→門前仲町|128
9|東京メトロ|日比谷線|三ノ輪→入谷|127
9|横浜市営地下鉄|グリーンライン|日吉本町→日吉|127
11|東京メトロ|千代田線|町屋→西日暮里|126
12|横浜市営地下鉄|ブルーライン|三ツ沢下町→横浜|123
12|名古屋市営地下鉄|名城・名港線|東別院→上前津|123
12|首都圏新都市鉄道|つくばエクスプレス線|青井→北千住|123
15|名鉄|名古屋本線(東)|神宮前→金山|122
16|東京メトロ|南北線|駒込→本駒込|121
16|都営地下鉄|新宿線|西大島→住吉|121
16|名鉄|名古屋本線(西)|栄生→名鉄名古屋|121
19|JR東日本|白新線|新発田→新潟|120
19|JR東日本|中央線(快速)|中野→新宿|120
19|都営地下鉄|大江戸線|中井→東中野|120
19|名古屋市営地下鉄|東山線|名古屋→伏見|120
19|名鉄|犬山線|下小田井→枇杷島分岐点|120
24|近鉄|奈良線|河内永和→布施|119
25|JR東日本|京浜東北線|川口→赤羽|118
25|大阪メトロ|御堂筋線|梅田→淀屋橋|118
27|小田急電鉄|小田原線|代田→下北沢|117
27|近鉄|大阪線|俊徳道→布施|117
27|湘南モノレール|江の島線|富士見町→大船|117
30|JR西日本|片町線|鴫野→京橋|116
30|福岡市営地下鉄|空港・箱崎線|大濠公園→赤坂|116
30|熊本市電|水前寺線|味噌天神前→交通局前|116
30|京王電鉄|京王線|下高井戸→明大前|116
30|東急電鉄|東横線|東横祐天寺→中目黒|116
30|名鉄|常滑線|豊田本町→神宮前|116
30|名鉄|瀬戸線|矢田→大曽根|116

前年度に引き続き1位となった日暮里・舎人ライナー。【撮影:草町義和】

1位は2020年度に引き続き都営交通の日暮里・舎人ライナー(144%)だった。2位は福岡市内の西鉄貝塚線・名島→貝塚(140%)。JR可部線・可部→広島(5位、132%)やJR信越本線・新津→新潟(7位、130%)など三大都市圏以外の地方線区も引き続き上位に食い込んでいる。

コロナ禍前に混雑率ワースト1位の「常連」だった東京メトロ東西線・木場→門前仲町は128%で8位。2020年度に比べ5%上昇し、2019年度に比べ71%低下している。

混雑率はコロナ禍による移動控えの影響で大幅に低下しているが、減少幅は区間ごとによって大きく異なる。減少幅がとくに大きい路線では、テレワークの実施に対応できる住民が沿線に多いことなどが考えられる。

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