東急電鉄の運賃値上げ「期限付き」認可 「大手初」来年3月から



国土交通大臣は4月8日、東急電鉄が申請していた運賃改定を申請通り認可した。これを受けて東急電鉄は来年2023年3月に運賃を値上げする。一方で国交相は今回の認可に期限を設け、実際の収支状況を確認するという条件を付けた。

ホームドアが整備された東急線の元住吉駅。【撮影:鉄道プレスネット】

認可されたのは普通旅客運賃と定期旅客運賃の上限の変更。普通旅客運賃の場合、鉄道対キロ区間制の初乗り運賃は10円程度値上げし、それ以外の区分の改定率はおおむね全体の改定率(12.9%)と同程度に値上げする。鉄道均一制運賃を適用しているこどもの国線は据え置く。軌道均一制の世田谷線は10円程度値上げする。定期旅客運賃も普通旅客運賃にあわせて値上げするが、通学定期旅客運賃は据え置く。

同社はホームドアの整備や新型車両の導入など大規模な設備投資を進めて経費が増大。その一方、コロナ禍で利用者が大幅が減少し、今後も需要の回復は見通せないとして、1月に運賃の値上げを申請していた。東急電鉄は実際に適用する運賃(実施運賃)も認可された上限運賃と同額にする模様だ。

田園都市線を走る新型車両の2020系。【撮影:草町義和】

国交相は今回の認可について、2028年3月31日までの期限を設定。運賃改定後の2023年度から3年間(2025年度まで)の総収入と総括原価の実績を確認するという条件を付けた。国土交通省鉄道局の担当者によると、コロナ禍の収束で利益幅が大きくなった場合などは期限後の運賃について見直す可能性もあるという。

鉄道運賃改定の手続きでは、経費に一定の利益を加えたもの(総括原価)を越えないかどうかを運輸審議会が審査し、改定が適当かどうかを答申。国交相は運輸審議会の答申に沿って認可の可否を決める。東急電鉄の申請では4月5日、運輸審議会が運賃改定を適当と答申しつつ、コロナ禍の今後の影響が不透明などとして期限付きの認可の検討と収支状況の報告を求めていた。国土交通省鉄道局の担当者によると、期限付きの運賃改定認可は大手私鉄では初めてという。

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