上野動物園モノレール「廃止」へ 民間と連携「新たな乗り物」導入に向け意向調査



東京都建設局は2月17日、上野動物園内にある休止中の上野懸垂線(上野動物園モノレール)を廃止し、「新たな乗り物」を整備する方針を明らかにした。株式会社やNPO法人、公益法人などの民間事業者から新たな乗り物の整備・運営について、参入意欲の有無やアイデアなどの提案を募る「マーケットサウンディング調査」を実施する。

休止直前の上野動物園モノレール。【撮影:草町義和】

マーケットサウンディング調査の対象は上野動物園の東園と西園を結ぶ新たな乗り物。建設局は小型モノレールを想定しているが、それ以外の乗り物による提案も可能だ。従来のモノレールと同等以上の輸送能力を備えたものであることが条件。また、上野動物園にふさわしい車体デザインなど乗り物の魅力を高める工夫も提案するよう求めている。乗り物の工事・運行では飼育動物への配慮も求められる。

また、新たな乗り物と一体的に整備、運営することで乗り物の魅力や利便性などを向上させる収益施設などの提案や、既設のモノレールの車両・駅舎・軌道などの活用方法についての提案も求めている。

質問の受付期間は3月7日17時まで。提案書は4月25~28日17時に受け付ける。個別対話は4月25~28日17時に受け付け、5月16~20日の期間中に実施する予定だ。調査結果の概要は7月に公表される予定。事業者の公募は2023年度に行うことが想定されている。

上野動物園モノレールは動物園の東園と西園の0.3kmを結ぶ懸垂式モノレール。建設局が施設を管理し、交通局が運行していた。1950年代、東京都が路面電車に代わる都市交通機関としてモノレールの導入を構想し、その実験路線として1957年に開業した。鉄道法規に基づく路線としては日本初のモノレールだ。

1980年代には東京都の財政難や施設の老朽化を受けて廃止が検討されたものの、廃止反対の声が大きかったこともあり存続した。しかし2010年代後半に再び老朽化問題が浮上し、2019年10月31日限りで営業を休止。現在は無料の電気バスが東園と西園を結んでいる。

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