東海道本線の沼津「新貨物駅」来年1月着工 高架化「大きな懸案事項を一つクリア」



静岡県沼津市は12月22日、東海道本線・原~東田子の浦間に計画された「新貨物駅」について、来年2022年1月に着工すると発表した。沼津駅付近の高架化プロジェクトで長年の課題となっていた貨物駅の移転が動き出す。

新貨物駅の横断面図。【画像:沼津市】

新貨物駅は沼津市内の原新田・一本松・桃里地区に整備。敷地面積は11.8haで、コンテナホームや着発線、駅本屋、緑地調整池などを設ける。着発線荷役方式(E&S方式)を採用し、荷役作業の時間を短縮する。

1月から始まる工事は、用地の基盤を整えるための造成(約1.3ha)と付帯施設となる調整池の築造(約1.4ha)。1月14日に一本松地区で着工式が行われる。このほか、3月には埋蔵文化財の現地調査が完了する予定だ。

新貨物駅は、沼津駅と同駅付近の東海道本線・御殿場線を高架化する連続立体交差事業(連立事業)の一環。現在の沼津駅は東側にJR東海の車両基地、西側にJR貨物の貨物駅があり高架化に支障することから、これらを高架化の範囲外に移すことが計画された。

高架化区間(赤)と貨物駅・車両基地の移転先(青)。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

連立事業は2003年の都市計画決定と2004年の事業認可を経て用地買収に着手したが、新貨物駅は用地買収が難航。事業認可から17年が過ぎた今年2021年2月、行政代執行(強制収用)により建設用地の確保が完了し、着工に向けた準備が進められていた。

沼津市の頼重秀一市長は12月22日の記者会見で「大きな懸案事項を一つクリアすることができたということにおいては、大変ありがたいこと」と話した。

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