国鉄バス「第1号車」重要文化財に 「国産化に多大な貢献」岡多線で運行



文部科学大臣・文化庁長官の諮問機関である文化審議会は10月15日、JR東海のリニア・鉄道館(名古屋市)で保存、展示されている「鉄道省営乗合自動車」(国鉄バス第1号車)を、美術工芸品の重要文化財に指定するよう答申した。

リニア・鉄道館で展示されている国鉄バス第1号車。【画像:文化庁】

国鉄バス第1号車は、国鉄初のバス路線となった岡多線(愛知県)に導入されたバス車両7台のうちの1台。1930年に東京瓦斯電気工業(現在のいすゞ自動車など)で製造され、1937年4月まで使われた。

1938年からは旧・鉄道博物館(のちの交通博物館)で展示され、2007年からは現在の鉄道博物館(さいたま市)で展示。2011年、リニア・鉄道館に移った。

全長約7m、重さ4tで定員は20人(立席を含めると30人)。官民共同で開発に取り組んだ国産バスで、点火装置や発電機など一部の部品に外国製品を用いたが、ガソリン機関などほとんどの部品は国内で製造されている。

文化審議会は「我が国における乗合自動車事業が発展していく上で、また乗用自動車の国産化において多大な貢献を果たした本車輌の先駆性や規範性は高く評価され、交通史上、産業技術史上に価値が高い」とした。リニア・鉄道館で展示されている車両としては、ホジ6014蒸気動車に続き2例目の重文指定だ。

10月15日の答申では、九州鉄道記念館で展示されているキハ07形気動車(キハ07 41)の重文指定も盛り込まれている。

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