新幹線と在来線の乗継割引「廃止」在来線特急が半額、60年近い歴史に終止符



JR北海道・JR東日本・JR東海・JR西日本のJR旅客4社は9月22日、新幹線と在来線の「乗継割引」を廃止すると発表した。JR四国とJR九州はJR共通の新幹線~在来線の乗継割引の取り扱いをすでに終了しており、国鉄時代から60年近く続いてきた割引制度が姿を消す。

廃止されるのは、新幹線と在来線の特急・急行列車を指定された駅で乗り継ぐ場合、在来線の特急券・急行券・指定席券が半額(10円未満は切り捨て)になる乗継割引の制度。廃止時期はJR北海道とJR東日本が来年2024年春とし、廃止日は決まり次第案内するとしている。JR東海とJR西日本は2024年3月16日乗車分・利用分からとしている。

廃止の理由について、各社は「弊社を取り巻く経営環境の変化」(JR北海道)や「コロナ禍後のお客さまのご利用状況の変化」(JR西日本)のほか、「インターネット販売等の拡充による販売環境の変化」(JR東日本)も挙げている。

JR東海は現在の新幹線ネット予約「EXサービス」のほか、在来線の特急列車についてもネット予約や「おトクな商品」を提供する予定があるとし、これに伴い乗継割引を廃止するとしている。

名古屋駅で東海道新幹線(左上)から在来線特急「しなの」(右下)に乗り継ぐイメージ。普通車指定席(通常期)の場合、「しなの」の指定席特急券は名古屋~木曽福島で2390円だが、新幹線から乗り継ぐとほぼ半額の1190円になる。【撮影・加工:草町義和】

新幹線と在来線の乗継割引は国鉄時代の1965年に始まった。前年の1964年に東海道新幹線が開業し、東京駅から中国・九州方面に直通する在来線の特急・急行が減少。東海道新幹線と在来線特急・急行を乗り継いで利用するケースが増えた。

この場合、新幹線の特急券と在来線の特急券・急行券をそれぞれ購入しなければならず、従来の直通特急・急行より割高になった。これを緩和するため新幹線と在来線の乗継割引が導入された。ほかにも本州~北海道や本州~四国の列車を乗り継ぐ場合に北海道・四国の特急券や急行券を半額にする乗継割引が導入されていた。

1987年の国鉄分割民営化後もJR共通の乗継割引制度として維持されたが、新幹線のネットワークが拡大するにつれ適用範囲が減少。別の割引切符へのシフトなどもあって乗継割引を利用する客も減っていたとみられる。今年2023年4月には山陽新幹線~四国在来線や寝台特急「サンライズ瀬戸」~四国在来線の乗継割引が終了していた。

西九州新幹線「かもめ」(右)と在来線特急(左)は西九州新幹線の開業時からJR共通の乗継割引は適用されなかった。【撮影:草町義和】

昨年2022年9月に開業した西九州新幹線「かもめ」と在来線特急「リレーかもめ」の乗り継ぎはJR共通の乗継割引が適用されず、それぞれの特急券を約1割引して合算した特急券を発売している。2024年3月16日に金沢~敦賀が延伸開業する北陸新幹線と敦賀~大阪・米原・名古屋の在来線特急の乗り継ぎも、同様の割引制度が導入される予定だ。

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