長崎本線の新しい鉄道事業者「佐賀・長崎鉄道管理センター」設立 今夏にも許可申請へ



上下分離方式に移行する区間の肥前飯田駅付近を走る特急「かもめ」。【画像:まさじーやん/写真AC】

佐賀県と長崎県は4月1日、JR長崎本線・肥前山口~諫早間の鉄道施設の維持管理を行う「一般社団法人佐賀・長崎鉄道管理センター」を設立した。九州新幹線長崎ルート(西九州ルート、長崎新幹線)の開業に伴う上下分離方式への移行に対応する。

所在地は佐賀県鹿島市。代表理事は長崎県地域振興部の早稲田智仁部長で、ほかに佐賀県地域交流部の山下宗人部長ら3人が理事を務める。

長崎本線の肥前山口~諫早間は2022年秋に開業する長崎ルート・武雄温泉~長崎間の並行在来線として、JR九州からの経営分離が想定されていた。しかし、長崎ルートは長崎本線から離れた地域を通るため、肥前山口~諫早間の中間地域は新幹線の駅が設けられないにもかかわらず経営分離される形になることから、沿線自治体の鹿島市などが経営分離に反対した。

このため、新幹線開業後の23年間は佐賀県と長崎県が線路施設を保有し、JR九州が両県から施設を借り入れて列車を運転する上下分離方式で運営することが決まった。JR九州が長崎ルートの開業にあわせて両県に施設を無償譲渡し、維持管理費は長崎県2・佐賀県1の割合で両県が負担する。

佐賀・長崎鉄道管理センターは今後、線路施設を保有してJR九州に貸し出す事業(第3種鉄道事業)の許可を申請する予定。JR九州も佐賀・長崎鉄道管理センターから施設を借り入れて列車を運行する事業(第2種鉄道事業)の許可を申請することになる。このほか、JR九州は線路を保有して列車を運行する現在の事業(第1種鉄道事業)を廃止する必要がある。

廃止は廃止予定日の1年前までに届け出なければならないため、2022年秋の長崎ルート開業にあわせて上下分離方式に移行する場合、今年2021年秋までには第1種鉄道事業の廃止を届け出る必要がある。JR九州と佐賀・長崎鉄道管理センターの第2・3種鉄道事業許可も今夏には申請されるとみられる。