東広島で「自動運転・隊列走行BRT」初の公道実験 JR西日本とソフトバンク



自動運転と隊列走行技術を用いたバス高速輸送システム(自動運転・隊列走行BRT)を共同で開発しているJR西日本とソフトバンクの2社は9月15日、専用テストコース(滋賀県野洲市)での実証実験を7月に完了したと発表した。2社は次のステップとして公道での実証実験を広島県東広島市で実施する。2社によると、自動運転・隊列走行BRTの公道での実験は日本初という。

バス専用レーンを走る連節バス(インドネシア・ジャカルタのBRT)。【撮影:草町義和】

公道の実証実験は11月から来年2024年2月まで、山陽本線の西条駅と広島大学東広島キャンパスを結ぶ県道・市道「ブールバール」で実施。連節バスと大型バスの合計2台を使用する。

実験では、電波状況や勾配など自動運転に影響を与える走行環境の検証や、連節バスと大型バスの2台による自動運転・隊列走行の実証走行と課題の検証、実証実験の実施によるBRTや自動運転・隊列走行などの新技術に関する社会受容性の変化の測定などを行う。東広島市民をはじめとした試乗会も予定している。

西条駅と広島大学の位置。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

東広島市での実証実験の自動運転はレベル2。運転手が運転操作の主体となり、システムがアクセル・ブレーキ操作およびハンドル操作の両方を部分的に実行する。

まず2023年10月から11月にかけ野洲で事前調整走行を実施。11月から東広島での実証実験を開始し、自動運転に影響を与える走行環境の検証を12月まで行う。12月から2024年2月まで連節バス・大型バスの2台での自動運転・隊列走行を実施。1月からは試乗会を通じて社会受容性の変化の測定も行う。

2社は今後、自動運転・隊列走行BRTの社会実装に向けた取り組みを進め、2020年代半ばをめどに自動運転レベル4の許認可取得を目指す。「地域のまちづくりの取り組みと連携し、持続可能な次世代モビリティサービスの実現を目指します」としている。

公道での自動運転・隊列走行BRTの実証実験のイメージ。【画像:JR西日本・ソフトバンク】

2社はJR西日本の網干総合車両所宮原支所野洲派出所(滋賀県野洲市)に自動運転・隊列走行BRTの専用テストコースを整備し、2021年から実証実験を開始。2社によると、日本初となる連節バスの自動運転化と自動運転バス車両の隊列走行、自動運転・信号制御・運行管理を組み合わせた交通システムのパッケージとして機能させることに成功し、社会実装に向けて今後向上させる機能や運用方法などの課題を抽出したという。

野洲の専用テストコースで実施された自動運転・隊列走行BRTの実証実験。【画像:JR西日本・ソフトバンク】

また、2022年には広島大学・東広島市・JR西日本の3者がBRTの導入に向けた連携・推進協定を締結し、公道での実証実験に向け調整を進めていた。

東広島市の総合交通戦略に盛り込まれたバス優先レーン案(上)とバス専用レーン案(下)。【画像:東広島市】

東広島市は2015年に策定した総合交通戦略で、都市拠点(西条駅~広島大学のエリア)と都市機能拠点(山陽新幹線の東広島駅)を連絡する公共交通機関として、バス優先レーンの設置による路線バスの多頻度運行やバス専用レーンの設置によるBRT運行の検討を盛り込んでいる。

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