福岡地下鉄「七隈線延伸」列車が走る空間ほぼ完成 事業費は着工時から130億円増へ



線路敷設工事が進む七隈線の延伸区間。【画像:福岡市交通局】

「福岡市地下鉄七隈線建設技術専門委員会」の第16回会合が8月23~31日に書面開催され、福岡市交通局が七隈線延伸事業の進ちょく状況などを報告した。

七隈線の延伸区間は天神南~博多間の約1.4km(営業距離は約1.6km)。途中、中間駅として島式ホーム1面2線の櫛田神社前駅が設けられる。博多駅も島式ホーム1面2線だ。

七隈線の延伸区間(赤点線)。【画像:福岡市交通局】

報告によると、三つに分けられた工区すべてで、列車が走行する空間の構築がほぼ完了した。櫛田神社前駅の土木本体工事は西側工区が7月15日に完成し、東側工区も7月30日に完成。現在は両工区とも軌道工事や建築・設備工事などが進められている。

博多駅の七隈線ホーム(地下5階)。【画像:福岡市交通局】

博多駅工区はナトム工法(ロックボルトを岩盤に打ち込んでトンネルを保持する工法)を採用した区間で本坑の構築が完了し、軌道工事に着手。アンダーピニング工法(既存の建造物が沈んだり傾いたりしないよう、基礎を補強しながら掘削する工法)の区間では、住吉通りや博多口駅前広場を占用しながら地下2階部分やプラットホームなど駅舎部の構築工事が行われている。

博多駅のアンダーピニング区間(北側開削部の地下2階)。【画像:福岡市交通局】

博多駅西側のナトム工法による3連トンネル部も構築が完了。安全性や施工管理面を考慮し、断面が大きいトンネルを防護するパイプルーフが施工され、横462本・縦70本のパイプルーフの施工が昨年2020年12月までに完了しているという。

博多駅西側の3連トンネル部。【画像:福岡市交通局】

七隈線の延伸区間は2014年に着工。当初は2020年度の開業が予定されていたが、2016年に掘削工事中だった七隈線トンネルの上方を通る博多駅前の道路で、大規模な陥没事故が発生。この影響などで工事が遅れ、開業予定が2年遅れの2022年度に変更された。

事業費は2014年の着工時点で約450億円とされていたが、交通局は「物価上昇や駅施設の利便性の拡充など、社会情勢の変化による影響や、道路陥没事故の影響を考慮した結果」として約587億円を見込んでいるとし、130億円ほど増加する模様だ。

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