京急大師線「地下化」鈴木町~東門前間の節減・短縮を検討 コロナ禍で着工見合わせ



京急大師線の地下化ルート(赤)。【画像:国土地理院地形図、加工:鉄道プレスネット編集部】

川崎市は着工を見合わせた京急電鉄大師線「1期(2)区間」の地下化について、事業費の節減や工事期間の短縮の検討を行っている。今年2021年秋にも公表される川崎市総合計画の第3期実施計画(2022~2025年度の4年間)の素案などで、検討結果が明らかにされる見込みだ。

1期(2)区間は鈴木町駅付近から東門前駅の約1.2km。このうち鈴木町駅付近から川崎大師駅までの「鈴木町すり付け」区間は都市計画が決定していない。川崎大師~東門前間は昨年度2020年度中の着工が予定されていたが、川崎市はコロナ禍による財政難を受け再検討するとして着工を見合わせた。

川崎市によると、1期(2)区間は現在の計画では開削工法で地下化を図ることになっているが、既存の事業計画にとらわれず設計や前提条件の見直しを図り、施工方法や構造工法の検討を行っているという。推進工法(ところてん工法)やシールド工法の採用も視野に入れ比較検討しているとみられる。

京急大師線は京急川崎駅から臨海部の小島新田駅まで延びる4.5kmの鉄道路線。全線を地下化して踏切を解消する連続立体交差事業(連立事業)が計画され、1993年に都市計画が決定。1994年に事業認可を受けた。

まず川崎大師~小島新田間を1期区間とし、現在の線路と同じルートで地下化。京急川崎~川崎大師間は2期区間とし、現在の線路から南に離れたルートで地下線を建設する計画だった。1期区間は二つに分けられ、1期(1)区間の東門前~小島新田間が2006年に着工。2019年3月に地下運行が始まった。

一方、川崎市は費用対効果や社会情勢の変化などを受け、2017年に2期区間の中止を決定。1期区間は事業継続となったが、1期(2)区間は現在の鈴木町駅にすり付けるルートに変更された。1期区間全体の事業費は約1500億円とされている。

川崎市内の連立事業は、ほかにJR南武線・矢向~武蔵小杉間の都市計画決定がコロナ禍を受け延期され、再検討が行われている。

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