福岡地下鉄空港線とJR福北ゆたか線「接続」調査費を福岡県が計上 福岡空港から延伸



香椎線(手前)と篠栗線(福北ゆたか線、右奥)が立体交差している長者原駅。【撮影:草町義和】

福岡県は本年度2021年度6月補正予算案に「福北ゆたか線接続可能性調査費」を新規計上した。予算額は3012万8000円。福岡市営地下鉄空港線の福岡空港駅とJR福北ゆたか線の接続を図るため、複数のルート案の検討や将来需要予測などの調査を行う。福岡県は本年度中にも調査結果をまとめる方針だ。

空港線の福岡空港駅から先の延伸は、同線の博多~福岡空港間が開業する前の1990年代初頭から構想されるようになった。これまでに空港南東側の東平尾公園や東月隈方面への延伸、篠栗線(JR福北ゆたか線)との連絡などが浮上している。

このうち東平尾公園への延伸は1993年、空港周辺の住民で構成される協議会が福岡市に陳情している。しかし同市は1998年、東平尾への延伸は利用者が1日2500人程度しか見込めず、延伸は非常に困難と市議会で説明。篠栗線との連絡を視野に入れ検討する方針を示した。

2016年7月には、筑豊本線(福北ゆたか線)沿線の飯塚商工会議所や飯塚観光協会など16団体が、空港線を篠栗線・香椎線の長者原駅まで延伸することを求める協議会を設立。翌2017年にも、長者原駅がある粕屋町で福岡空港~長者原間の接続を目指す協議会が設立され、地下鉄と福北ゆたか線の接続を求める動きが活発化している。

福北ゆたか線は、鹿児島本線・筑豊本線・篠栗線で構成される全長66.6kmのJR線の運行系統。鹿児島本線の黒崎駅から筑豊本線の飯塚駅、篠栗線などを経由して鹿児島本線の博多駅に至る。

福岡市営地下鉄空港線とその周辺路線の位置。空港線と福北ゆたか線を接続する構想(赤)が浮上している。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット編集部】

福岡空港~長者原間は直線で約3.3km。同区間の所要時間は現在、福北ゆたか線と空港線を博多駅で乗り継ぐルートで約30分、直通の急行バスは約20分だ。空港線を長者原駅まで延伸した場合、福北ゆたか線の沿線地域から福岡空港への所要時間の短縮が図られるほか、天神地区へのアクセスも強化されることが期待される。一方で福岡市域外への延伸になることから、建設費の負担割合や路線の運営形態などが課題になるとみられる。

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