東武鉄道の蒸気機関車「2両目」まず真岡鉄道C11で もと江若鉄道C11は整備遅延

東武鉄道は7月20日、鬼怒川線(栃木県)で運転しているSL列車「SL大樹」の安定輸送をはかるため、真岡鉄道(茨城県・栃木県)からC11形蒸気機関車の325号機を7月30日付けで譲り受けると発表した。営業運転開始は12月の予定。JRからもディーゼル機関車や客車を譲り受け、輸送力を強化する。

東武鉄道が譲り受けるC11 325。【画像:東武鉄道】

C11 325は1946年に製造されたタンク式の蒸気機関車。1972年に引退し、新潟県水原町(現在の阿賀野市)の水原中学校で静態保存されていたが、C12形蒸気機関車の66号機でSL列車「SLもおか」を運転している真岡鉄道が譲り受けて動態復元し、C12 66の予備機として使われた。

しかし、利用者の減少や蒸気機関車の維持コストが高額なこともあり、真岡鉄道はC11 325の売却を決定。所有権をいったん芳賀地区広域行政事務組合に移してから2019年3月に入札が公告され、東武鉄道が応札した。同年12月に真岡鉄道でのラストランが行われ、現在はJR東日本の大宮総合車両センターで検査中という。

東武鉄道は「SL大樹」用としてJR北海道からC11形207号機を借り受けており、C11 325の導入で蒸気機関車が2両体制になる。同社はC11 207が検査などで長期間運行できない場合も年間を通してSL列車を運転できるようになり、ほかの路線でのイベント運転などの検討も可能になるとしている。

これに伴い東武鉄道は、蒸気機関車の点検などを行う下今市SL機関庫を増築。2両の蒸気機関車に対応できる施設に改修した。内部には車両の床下を点検するピット線や、車両部品や機器のつり上げが可能なクレーンを設置。側面をガラス張りにしたことで、蒸気機関車が運転されない日も点検や整備の様子を見ることができるようにした。

JR東日本から譲り受けたDE10 1109。【画像:東武鉄道】
スハフ14 501はJR北海道から譲り受けた。【画像:JR北海道】

このほか、JR東日本からDE10形ディーゼル機関車の1109号機を譲り受け、JR北海道からも14系客車のスハフ14形501号車を譲り受けた。C11 325に先立ち今年2020年8月から運用を開始する予定。これにより2編成での運転が可能になり、土曜・休日を中心に最大4往復8本(現在の新型コロナウイルスの影響で2往復4本のみ運転)をすべて蒸気機関車で運転することができるという。

DE10 1109は、本州と北海道を結んでいた寝台特急「北斗星」や急行「はまなす」などをけん引していた頃のDD51形ディーゼル機関車の塗装を再現。青色の車体に金色の帯、流星マークを施した塗装に変更した。スハフ14 501も青い塗装に白い帯を巻いた「ブルートレイン塗装」で、東武鉄道は「往年の急行列車の懐かしさをお楽しみいただけます」としている。

東武鉄道は当初、もと江若鉄道(滋賀県)や雄別炭礦鉄道(北海道)の蒸気機関車で日本鉄道保存協会が所有していたC11形を譲り受けることで、2020年冬から蒸気機関車の2両体制をはかることにしていた。しかし、修繕や部品の新製が必要な部分が想定より多いことが判明。さらに新型コロナウイルスの影響で整備が遅れていることから、東武鉄道は江若鉄道C11形の完成予定時期を1年延ばして2021年冬に変更した。

雄別炭礦鉄道時代のC11形。【画像:東武鉄道/撮影:石川一造/提供:名取紀之】