西鉄天神大牟田線、大野城・春日原市内の高架切替は2022年8月末に 1年5カ月遅れ



福岡県と西日本鉄道(西鉄)はこのほど、西鉄天神大牟田線で実施している連続立体交差事業(連立事業)について、工事完成の見込み時期を変更した。

春日原駅の高架化後のイメージ。【画像:福岡県】

高架線への切替と踏切の解消は、従来の計画より1年5カ月遅い2022年8月末の予定に。仮線の撤去なども含めた全体の工事の完了時期も2年8カ月遅い2024年11月末に変わった。

この連立事業は、大野城市栄町一丁目(福岡市との市境)から途中春日原市内を通って大野城市下大利三丁目(太宰府市との市境)まで天神大牟田線の線路(約3.3km)を高架化し、12カ所の踏切を解消する福岡県の事業。この区間内にある春日市内の春日原駅と大野城市内の白木原・下大利の2駅も高架化される。

高架化工事が進む西鉄天神大牟田線。写真の撮影地点では現在の線路の直上に高架橋を設けるため、線路の両脇に支柱が立ち並んでいる。【画像:福岡県】

工事は2011年から本格化。2014年に仮線への切替が行われ、2018年には春日原駅の仮駅舎が開設された。従来の計画では2021年3月に高架線への切替を行い、新駅舎の整備などすべての工事が完了するのは2022年3月の予定だった。

福岡県や西鉄などによると、昨年2019年10月、春日原駅の旧駅舎の地中から想定外のコンクリートなどが見つかった。このコンクリートが線路脇の狭い場所にあったため、撤去に時間がかかることが見込まれ、さらに撤去作業の影響で工程がずれ込むことになり、全国に数台しかない特殊なくい打ち機を1台しか確保できなくなったという。

このため西鉄は、工期の変更を福岡県に要請。このとき、西鉄は高架切替が2年遅れの2023年3月、全体の工事完了も4年遅れの2025年度としていた。

これに対し、福岡県は検証委員会を設置して工期の短縮を検討。その結果、高架切替は西鉄が申し出た期間より7カ月短縮し、全体の工事の完了も10~16カ月程度短縮することが可能とした調査結果を今年2020年5月1日までにまとめた。

この連立事業の北寄りでも、天神大牟田線・雑餉隈駅付近の約1.9kmを高架化する福岡市の連立事業が実施されており、同事業の工期にも影響するとみられる。

福岡県による連立事業の事業区間。北寄り(左)の福岡市内でも福岡市が連立事業を実施している。【画像:福岡県】