JR西日本ローカル線「経営状況」開示、交通体系を議論へ 「鉄道は環境に優しくない」



JR西日本は4月11日、同社が運営する在来線のうち1日の輸送密度が2000人未満の線区について、経営状況を公表した。同社が2000人未満の線区の経営状況を開示するのは初めて。すべての線区で収入より経費が大きい赤字路線となっている。

JR西日本の各線区の輸送密度(2019年度)。【画像:JR西日本】

JR西日本が公表したのは、2019年度の輸送密度が2000人未満だった17路線30線区の営業係数や営業損益など。2017~2019年度と2018~2020年度の各3カ年の平均を示した。

営業係数が最も悪かったのは芸備線の東城~備後落合間(広島県)。100円の収入を得るのにかかった経費は2017~2019年度が2万5416円で、2018~2020年度はさらに悪化して2万6906円の経費がかかった。この区間の輸送密度はJR西日本が発足した1987年度で476人だったが、2020年度は9人に落ち込んでいる。

営業係数が最も小さかったのは播但線の和田山~寺前間(2019年度の輸送密度は1222人)で、2017~2019年度が100円の収入を得るのに340円、2018~2020年度は370円かかった。

実際の赤字額が最も大きかったのは、山陰本線・出雲市~益田間(2019年度の輸送密度は1177人)。2017~2019年度が34億円5000万円。2018~2020年度は35億5000万円の赤字だった。

2017~2019年度の経営状況。【画像:JR西日本】
2018~2020年度の経営状況。【画像:JR西日本】
木次線の出雲坂根駅。この駅を含む同線の出雲横田~備後落合間は輸送密度が100人を割り込んでいる。【撮影:草町義和】

JR西日本によると、沿線人口の減少・少子高齢化、道路整備や、道路を中心としたまちづくりの進展などで、ローカル線を取り巻く環境が大きく変化。とくに同社が経営状況を示した線区については「大量輸送という観点で鉄道の特性が十分に発揮できていない」とした。

また、二酸化炭素(CO2)の排出量について「現状のご利用実態では必ずしも鉄道の優位性を発揮できていない状況」とし、利用者が少ないローカル線ではバスなどほかの交通機関より環境負荷が高い場合もあるという見方を示した。

JR西日本が公表した資料によると、1車両あたりのCO2排出量は鉄道が1000~1500g-CO2/km、バスが500~700g-CO2/km、乗用車が100~200g-CO2/km。乗車人数が1両につき50人程度より少なければ、鉄道より鉄道以外の乗り物のほうがCO2排出量を減らせる可能性が高くなる。

各種交通のCO2排出量のイメージ。【画像:JR西日本】

JR西日本は「線区の特性の違いや移動ニーズをふまえ、地域のまちづくりに合わせた、今よりもご利用しやすい最適な地域交通体系を地域の皆様と共に創りあげていく必要がある」とし、沿線の自治体や住民などと議論する方針だ。

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