熊本市電の全国交通系ICカード「やめるのやめます」更新費の縮小などで継続へ



熊本市電で終了が予定されていた全国交通系ICカードへの対応が、一転して継続されることになった。熊本市の大西一史市長が11月28日、対応機器を更新して継続する方針を表明した。

熊本市電の路面電車。【撮影:草町義和】

熊本市を中心としたエリアの鉄道・バスでは、JR九州が全国相互利用サービスに対応した同社の交通系ICカード「SUGOCA」を導入。JR以外の鉄道・バスは独立系のICカード「熊本地域振興ICカード(くまモンのIC CARD)」を導入しつつ、SuicaやSUGOCAなど全国交通系ICカードでくまモンのIC CARDエリアの鉄道・バスを利用できるようにしていた。

しかし、全国交通系ICカードに対応した機器の更新に多額の費用がかかることから、各社局はタッチ決済やQRコード決済の導入を進めるとともに、昨年2024年11月には熊本市電を除いて全国交通系ICカードへの対応を終了した。残る熊本市電も来年2026年4月には全国交通系ICカードへの対応を終了する予定だったが、市議会や市民から終了に反対する声が挙がったこともあり、改めて今後の対応策を検討していた。

市電を運営する熊本市交通局が今年2025年11月21日に報告した検討結果によると、(1)全国交通系ICカード対応機器を更新して継続、(2)全国交通系ICカードへの対応を終了(当初方針)、(3)全国交通系ICカードに対応した簡易型端末を導入して継続――の3パターンを再精査。各パターンでかかる費用は再精査前、対応機器更新が約2億円、対応終了が約1億1000万円、簡易型端末導入が約1億9000万円とされていた。

今回の再精査では、対応機器更新パターンで構成機器を見直し、一部機器を安価なものに変更。費用は約1億5000万円に縮小した。一方で対応終了パターンは、くまモンのIC CARDで定期券を実装する費用の増額があり、約1億4000万円に増大。簡易型端末の導入も約2億2000万円に増大している。この結果、対応終了パターンが依然として一番安いものの、対応機器更新パターンとの差額は1000万円に縮小。簡易型端末の導入が最も高くなった。

各パターンの更新費用の再精査前と再精査後の比較。【画像:熊本市】

一方、8月から9月にかけて実施した利用者アンケート(外国人を除く2604人)では、全国交通系ICカードへの対応終了について「とても困る」「困る」と回答した人が全体の56.3%に達したという。こうしたことに加え、機器の更新で国から3分の1の補助を受けられる可能性もあることから、熊本市は全国相互利用サービスの継続を決めた。

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